＊122話「嫌だ」 ページ38
固まる私に、首を傾げる孝先輩。
とっくに陽が落ち、境内には闇が広がっていた。
「A……？」
どうしたと顔を覗いてくる孝先輩。
今になって気づいた。
私が入院していたとき、孝先輩は「全国へ行く」と言っていた。
だから、残るもんだと思っていた。
インハイが終わっても、春高まで引退しないのだと。
でも……
＿＿＿「今までありがとうな」
違うのかもしれない。
そう気づいた瞬間、景色がぼやけてきた。
「A？！」
「……ないで」
狼狽える孝先輩。
ぽろぽろと我慢していたものが溢れる。
「まだ引退しないで」
「……A」
嫌だ。まだ引退してほしくない
嫌だ。まだ一緒に部活をしたい
嫌だ。嫌だ。嫌だ
まだ“一緒にいたい”。
流れる涙をそのままにしていると、
勢いよく腕をひかれ、気が付けば視界いっぱいに孝先輩のジャージ。
「こ、うせんぱい？」
「しないよ。まだ」
抱きしめられている腕に力が込められた。
そっと背中に腕を回す。
「本当に？」
「ああ」
「噓じゃ」
「ないよ」
ぎゅうっと抱きしめられ、涙腺が崩壊したように涙が零れる。
「っ孝先輩」
「うん」
「孝先輩ぃ」
「うん」
「こ、孝先輩っ」
「うん、ありがとう」
静かな境内に私の泣く声が響く。
こんなふうに、小さい子みたいに泣いたのは二年ぶりだった。
だけど、二年前と違うのは抱きしめてくれる人がいる。
温かいぬくもりがある。
一人じゃない
そのことが私の抑えていたものをいともたやすく壊していった。
“壊してはいけないもの”まで……。
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星蛍(プロフ) - 琴音さん» あちゃー。やっぱりありましたか(汗)。すみませんが、書き方の統一を優先しているので、シリーズが完結次第、誤字修正をしていきます。教えたくださり、ありがとうございます。 (2019年4月1日 20時) (
レス) id: 3b9001af19 (このIDを非表示/違反報告)
琴音(プロフ) - いっぱい間違えてますね。月バリが月バレとか月バスになってたり、聞いてきたが聞いて生きたとか、久藤が久遠だったりまだまだありますけどw (2019年3月31日 17時) (レス) id: f776e23ba8 (このIDを非表示/違反報告)
☆慧琉☆@スガさん愛しすぎてﾀﾋぬ←w(プロフ) - 正しくはコンクリート出身、日向翔陽です。貴方をぶっ倒して全国へ行きます。だったような… (2016年7月5日 22時) (レス) id: 2223b2c821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星蛍 | 作成日時：2015年3月22日 17時
