Quite Talk 3

手のひら 10 (すぐ近くにいる ki) side ki ページ18

ったく。
二階堂のやつ。

マジで俺に厳しくない？



二階堂と飲んだ帰り道
Aと歩いてると

「ふふっ」

Aが突然笑い出す。



「どした？」

「んー？二階堂君って、宏光の事大好きだなーと思って」

「はぁ？」



あの流れでそう思うとかA大丈夫か？



それよりAへの過保護っぷりがヤバいと思うけど。

飲み物のお代わりもだけど
熱い食べ物に「熱いですよ」とか声掛けたり
サラダの取り分けの時なんか「Aさん、ネギ少なめですよね」とか、俺が知らなかった事まで言い出す。



「ネギ、実は嫌いだった？」

「あぁ、ううん。宏光に会う前にネギ臭いとか嫌かなって思ったけど、今は別に」

「えー？ネギ臭いとか気にした事ねーし」

「私は気にしてたの。最近復活したけど昔は帰ってすぐキスだったから」



あぁ、付き合いたてにしてた頃の事か。

そんな可愛い気遣いしてたとか
知らなかったんだけど。



「ニンニク臭くてもちゅーするぞ？」

「え、私は宏光が臭い時嫌だけど」

「ンな事言うな。息止めりゃいーだろ」

「えー……」



2人で笑い合ってると

「宏光ってさ、緊張すると手が冷たくなるんだね」

急にAが言う。



「え、そか？」

「うん。で、安心すると温かくなるの」

「マジで？」



あ、でも言われてみるとそーかも。

プロポーズん時は
さすがに緊張したもん。



「観覧車でも、さっき二階堂君に話す時も、ちょっと冷たくてなってた」

「かも。さすがに緊張すんじゃん」

「えー？プロポーズは返事わかってたのに？」

「分かってても緊張するだろ。ダメって言われる可能性0じゃねーもん」



Aと離れるとか、想像だけでもすげー嫌だし。
可愛がってる二階堂に反対されたらAの気が変わるかもしんねーし。



でも

「だとしたらAの手があったから、緊張も和らいだぞ？」

Aが俺の手の上で気持ち良さそうに寝てたみたいに
俺もAの手で落ち着いたから観覧車で気持ち伝えられたし、二階堂にもちゃんと言えた。



「ほんと？」

「おん。Aの手、すげーホッとする」



Aと繋いでる手を自分のほっぺにくっつけたら
手の温もりが伝わって、すげー気持ちいい。



「一緒だね。私も宏光の手、安心するし、好き」



嬉しそうに言うAは

「お互いの手が落ち着くとか最強だよね」

「ふふっ、だな」

俺のほっぺに手を添えたまま笑ってて。



その手には、観覧車で渡した指輪が光ってた。



…END…

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