Quite Talk 3

手のひら 4 (すぐ近くにいる ki) side ki ページ12

二階堂が見せてくれたものをきっかけに
色々考える。



疲れまくってるAに俺がいま出来ること。

疲れてるAを少しでも元気にしたい。



ここ最近宿のサイトしか見てなかったから
色々知ってて良かった。

車で1時間ちょいで行ける宿を素泊まりで予約して
Aが車の中で食べられるように鮭を焼いておにぎりを作る。

家の中が煙臭くなったけど美味しく焼けたし
最近洗濯をしてタンスにしまってる俺の特権でAの着替えをカバンに詰めて車に載せると
Aを迎えに行く。

買っておいた例の物も、Aの目に触れないトコに載せた。



会社から出てきたAはすげー疲れた顔をしてて
おにぎりを食べたらソッコーで寝る。

寝顔が可愛くて
信号待ちでほっぺに手を伸ばしたら
俺の手に無意識で顔を擦り寄せるAがめちゃくちゃ可愛い。



仕事が大変でも弱音を吐かずに頑張ってるAが
俺に無意識で甘えてるのが愛しい過ぎて
そっとキスをした。



愛しくて。

こんなにAに夢中になると思わなくて。



いや、Aをずっと見てたから
夢中になるのも無理もないんだけど。



温泉宿に着くと車から降りてぽかんと口を開けるAに

「今日は毎日頑張ってるAにご褒美っ」

って荷物が入った鞄を見せて

「着替えもバッチリ。メイク落としから洗顔や化粧品とかも入ってまーす」

「え？え？？何で？」

戸惑うAの手を取って引き寄せてチュッてキスをする。



「仕事、おつかれ。温泉入ってのんびりしよーぜ」



ギュッ、てAの手を握ると
Aがゆっくり握り返してくれて。



「ありがと、嬉しい」



ニッコリ笑うと俺に擦り寄って

「よく分かったね、私の着替えとか、化粧品とか」

「着替えはたまに見てるし。化粧品も置いてあるとこからテキトーに持ってきたから違ったらゴメンな？」

「……たまに見てるの？」

「朝の着替え、寝たフリして見てる」

「は！？」

Aが真っ赤になってギューーッて手を痛いくらい握ってくる。



「いてててッ！！」

「最低っ」

「いーじゃん！別に見たって！」

「良くないッ！」



言い合いしてたのにいつの間にか2人で笑いあって。



「温泉、入ろ」

「ん」



声を掛けたらAが頷いて、嬉しそうに笑うからそれだけでも嬉しくて。

ギュッ、と手を握り直して歩き出すとAがついてきてくれて。



この手は、もう一生離さない。

離そうとしたって、離さねーからな。



改めて決意した。

手のひら 5 (すぐ近くにいる ki) side you→←手のひら 3 (すぐ近くにいる ki) side you

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す