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last wall 27 -side 2- ページ5

今日は遅くまで
ミヤとタマと撮影。

他のメンバーは先に帰ったから休憩で3人でまったりしてると
タマのスマホが鳴って顔を顰めて俺を見る。



「え、何?」

「んーー、ちょっとね」



言いながら教えてくれずにスマホを弄ってるから

「タマ、さすがにそれはニカが気になっちゃうよ」

ミヤが助け舟を出してくれる。



「だってニカ意気地無しだもん」



タマが目線はスマホのまま言う。



「え、何それ」

聞き捨てならないんだけど。
でもタマは涼しい顔でスマホを弄りながら

「言えばいいのに。『いま寂しいんでしょ』『悲しいんでしょ』って。ニカしか助ける事出来ないのに、遠慮してさ」

誰のこと、とは言わずに言うタマはチラッと俺を見る。



そのタマの顔は
怒ってるようにも心配してるようにも見える。



タマはタマなりに
気にかけてくれてるんだろうけど

「ニカはAちゃんには思った事言わないよねー。いつも俺たちには言いたい放題なのに、あんまり好き勝手言わないんだね」

なんて俺がいつもワガママ言ってるみたいな言い方するから
さすがにムッとする。



「別に皆に言いたい放題してないじゃん」

「まぁね?でもいまは何かを我慢してるんじゃないの?」



タマに言われて改めて考える。



我慢してるっちゃしてる。

でもAちゃんにとって辛い時に支えて欲しいのが俺なのか分からないのに
うちに来いってしつこく言って
Aちゃんに嫌われたくないもん。



黙っちゃう俺にタマは

「好きって気持ちは簡単に変わらなくない?特にAちゃんの場合」

って笑う。



確かに。

しかも寝てる時にあれだけ甘えてくるAちゃんが
いま寂しい思いをしてないはずが無い。



帰ったら電話してみようかな。



色々考えながら撮影を終えてうちに帰る。

シャワーを浴びて
Aちゃんに電話しようかな、ってスマホを手にしたら「ピンポーン」ってインターホンが鳴る。



時計を見ると21時。

こんな時間に?



ということは。
慌てて玄関に行ってチェーンを外すと開くドア。



ドアの先にはやっぱりAちゃん。

泣きそうな顔を見たら
あ、限界来て俺に『会いたい』って思ってくれたんだな、って思ったのが伝わる。



だから黙って腕を広げたら
Aちゃんは飛び込むように抱きついてきて。



「心配したよ?」

頭を撫でて言ったら

「ごめんなさい…」

振り絞るような声で言う。



あぁAちゃんは俺と一緒で
我慢してたんだね。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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