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last wall 25 -side You- ページ3

「マキちゃん!早く早くー!」

「もー!待って!!」



走り出す私にマキちゃんが慌ててついてくる。



今日ここに来る前に朝一番で家に帰って
家中を掃除して洗濯物を乾すと手紙を書いて部屋を出た。



ついににぃに伝えた。

ここを出ていく、って。

自分でも引くくらい泣いたし
待ち合わせの瞬間、マキちゃんがびっくりしていて。



にぃの家を出るって手紙を書いたことを話したら

「そっか」

優しい顔で笑って

「メイク落ちちゃったね。直そうか」

持ってるメイク道具で可愛くしてくれたマキちゃんは

「いっぱい考えて答え出したんだもんね。偉かったね」

ってまた泣きそうな事を言う。



「でも『ごめんね』で良かったんじゃないの?」

「ううん、多分私、また同じような事でにぃを困らせるから」



そう、にぃとの喧嘩は2回とも夕飯絡み。

また同じ事で揉めるのが嫌だ。



ただ、それには理由がある。

私とにぃを繋ぐ『夕飯』というイベント。



ニカが居ながらワガママなのは分かってるけど

「私、ずっとにぃの一番で居たいの」

再会して爆発した思い。



「にぃが一番好きなのが、大事にしてくれてるのが、私じゃないと嫌なの。でもこのままだとにぃに嫌われる。それが、嫌なの」



にぃと過ごしたらにぃの一番だった事と
にぃの一番を取られそうになった事を思い出して苦しくなった。

自分にはニカが居るのに。



にぃからニカに会うなって言われたらものすごく嫌だ。

それを想像しただけで泣きそうなのに
ニカにもにぃの会えないのも嫌だ。



最低な事を言ってるのにマキちゃんは

「離れてた期間があるから、余計辛いよね」

寄り添ってくれる。



それが嬉しくて

「マキちゃーんっ」

また泣いちゃうと

「あはは!またメイク落ちるからっ」

わざと明るく言うマキちゃんに助けられて。



元気になった私は
マキちゃんと大好きな漫画の聖地に向かう。

はしゃぐ私に付き合ってくれるマキちゃんと笑ってると
聖地に近づくにつれて人が増えてくる。



観光客や海外の人も多くて

「めっちゃ多いね」

「ね」

マキちゃんとくっついてたけど
すれ違いざまに人とぶつかる。




「Sorry」



言われた声にドキッとする。

聞き覚えのある声。



まさか。

きっと気のせい。



「That’s okay」



普通に返しただけなのにぶつかった相手がゆっくり振り返る。



目が合う。

もう二度と合わないと思った目が。




ぶつかった相手は
婚約までした元彼だった。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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