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last wall 42 -side You- ページ20

なんと彼は私に偶然会ったときに
私をずっとつけていたらしい。

ただ、高嗣の家の最寄り駅で私を見失って
一度帰国してから私を見失った駅でここ3日駅で私を探してたっていう。



見失ってくれてて良かった。
高嗣に迷惑かかる所だったよ。



《怖っ。警察に言うよ》

《勘弁してくれ。友達にも迷惑がかかる》



私が言うと困った顔をする彼は
起業はいまの職業である研究員の仕事で同じ研究をして友達とするそうで
肌が弱い人でも使える無添加の化粧品を開発して
その販売サイト運営を出来る人を探しているらしい。



マキちゃんが美容師って分かると

《頭皮が弱い人向けのスタイリング剤やカラー剤も開発してるんだ》

って言うからマキちゃんに通訳すると
彼が言う成分は最近注目のものらしく

「オーナーがいいって言えば話くらい聞いてもいいけど」

なんて言う。



明後日国に帰るって言う彼に

《見送り行っていい?安心したい》

出国まで見届けないと高嗣の家に帰れないから聞くと
失笑されるけど。



《信用ないね》

《本当なら今すぐ警察行ってもいいくらいだよ。後付けられてるんだから》

《……そうか》



さすがに諦める彼に

《誓約書作るからサインしてね。後つけるとかしたら訴えるよ》

《そこまでする?》

《あなた『たち』のお陰でね。人間不信にもなるよ。特に男の人には》

畳み掛けるように言うと彼が無言になる。



《あなたたちの中で終わった事かもしれないけど、あなたが私に植え付けたトラウマは一生消えないの》



なんだかんだどこかで高嗣に甘えきれなかったのは
この人との事があったから。



いま改めて気づいた。

高嗣は大好きだし一番の存在だけど
私がもう二度と人に頼りきることはない。



そういう意味では高嗣はいい。
職業柄、高嗣は一生の約束なんて出来ないから。



早く高嗣の家から出よう。



彼が帰る便を確認して別れて
取ったホテルまでマキちゃんに送ってもらって部屋に入ると
高嗣から着信。



「もしも……」

『A?』



つい出ると食い気味で私を呼ぶ高嗣は

『良かったぁ、電話出てくれて。A、俺と距離置こうとするんじゃないかな、って思って』

なんて、私の考えてる事をお見通し。



「…………」

『ほーら、やっぱりー。させないからね、そんな事』



黙っちゃう私に高嗣は

『俺は絶対、Aを裏切らないし離れないからねっ』

笑顔なのが伝わる声で言うから。




高嗣の気持ちが嬉しくて涙が零れた。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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