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last wall 41 -side You- ページ19

元カレと再会した私とマキちゃんはさすがに周りの目が気になって
私たちの席で座って話す事に。



ところが彼の話はとんでもない話だった。



《起業したんだ。こっちで一緒に仕事しないか?》



なんて、びっくりする事を平気で言う。



何様?
私にした事忘れてるのかな。



怒りで顔が赤くなるのを感じてる私の横で

「あーもう!分からない言葉使われると何言ってるか分かんないっ」

マキちゃんがぷりぷりしてて
その怒り方の可愛さに少し和む。



マキちゃんが居てくれて
元カレが何を言ってるか分からないのに存在だけで怒ってくれて良かった。
どこか冷静になれたけど

《よくそんな事か言えたね。私に何したか忘れたの?》

自分でもびっくりするくらい、冷たい声。



その雰囲気だけでマキちゃんは私が怒ってる事に気づいたんだろう。
マキちゃんが私の手を握ってくれる。

大丈夫、落ち着いて。
私はひとりじゃない。

ホッとして、そっと握り返した。



《ビジネスの話だから。あくまで取引したい》



そう言われたけど
彼と関わるなんて嫌だから

《断らせて。今の仕事、楽しいの》

キチンと答えたけど

《嘘だね。伊達に結婚の話をしてた仲じゃないんだけど》

言われてグッと怯む。



確かに仕事は楽しくはない。
それを見破られたのは嫌だけど

《とにかく、ここから離れるつもりは無いから》

それだけは変わらない。



ただ基本自分は仕事大好き人間だから
楽しい仕事を沢山したい、って思う。



そして、ふと気づいた。

この辺で生活してるのがバレた今
こちらも彼の動向を把握したい。



《業務提携しない?内容によっては請けるよ》



言うと目を丸くする彼。



そうだよ。

仕事の受け先なんてあればあるほどいいし
合わなければ断ればいい。



《そちらの業務内容だけ送って》

《でも俺は………》

《とにかく、話はおしまい。私はここを離れない。そっちに戻るつもりはない》



ニカと一緒に居たいから。
ずっと笑って過ごしたい。



そして、にぃとも。

にぃと、仲直りしたい。
意地張ってごめんなさい、って言いたい。



《本当は貴方も気づいてるよね。『あの時』私じゃなくて彼側についた地点で貴方の一番は私じゃなくなってるって》

《でもそれをずっと後悔してて……》

《この前偶然会えただけなのに?今日はどこからつけてたの?》



本気で探してたらもっと早いはず。

その地点で彼は私を求めて無い。



図星なのか、彼は項垂れた。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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