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last wall 35 -side Ki- ページ13

「キタミツ」

みやっちの声。



うっすら目を開けると
俺が目を開けてホッとした顔のみやっちと目が合う。



「おはよ、そろそろメイクしないとだよ」

「ん、さんきゅ」



体を起こすとメンバー全員揃ってて
よこーさんと藤ヶ谷が寄り添って何かを見てて
ニカ千とタマがなんかを話してて楽しそうに笑っていた。



最近熟睡出来てない。
疲れてるのに、何処か寝つけない。



理由は分かってる。

Aと喧嘩したことと、出ていくきっかけを作ったことを
めちゃくちゃ後悔してるから。



着々とAの荷物が減ってる。

細々としたものを中心に。



でも俺がAに買った服やAが買った俺とお揃いのお皿やマグカップは置かれたままで
Aの私物が帰ってくる度に減ってるのを目の当たりにすると
ああ、俺との物は置いていくんだ、って思い知らされてダメージがデカい。

しかもいない間にコッソリ来るし
帰ってきた時に何も減ってないとホッとする。



次帰ってきた時は何が無くなってるんだろう、って考えると
地味に堪えた。

帰るのも怖いけど事実を確認しないのも、って
何だか気持ちが休まらなくて。

こーして皆が居るとこじゃねーと熟睡出来なくなった。



伸びをして立つと少しフラつく。

「おっと」

ぐらついた体を

「危なっ」

みやっちが支えてくれる。



「わりーわりー」

「もー!気をつけてよ?」



ちゃんとしねーと。

ほっぺをパンパン叩いて気合いを入れると
心配そうにみやっちが俺を見てるから

「大丈夫だって。ホラ、ちゃんと動けっから。たまたまだって」

その場で軽く跳ねるけど、みやっちは疑ってて。



「今日、うち泊まりに来る?」



ふとみやっちが言う。



「は?」

「ほら、キタミツが撮り忘れたからDVD出るまで待つって言って続き見たがってたアニメ。うちのハードディスクに入ってるからさ。うちで2話見ちゃえばリアタイに追いつけるよ?」



なんて言われたら。

確かに誰かんちなら寝れるかもしれねーな。



「……じゃ、泊まりに行く」

「うんっ!やった!!」



無邪気に笑うみやっちに感謝しかねーし
その嬉しそうな顔が無邪気に笑うAと重なって。

思わずみやっちを抱き締めた。

「は!?なに!?キタミツ!!」

「………」

慌てるみやっちを無視して抱き締めてたけど
やっぱりAとは違う。



「わり、寝ぼけた」

「は!?意味わかんないんだけどっ!」



ギャーギャー騒ぐみやっちを放置して
部屋を出た。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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