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last wall 24 -side Ki- ページ2

Aが家出して数日。



みやっちから

「今日はAちゃん、友達と鎌倉と江ノ島だって」

お昼をメンバーで食べてる時に言われる。

「「「へー」」」

答えたのは俺とニカとタマ。



ただ3人とも『へー』のテンションが違う。

俺は興味がない『へー』
タマは興味がある『へー』
ニカはどこか寂しそうな『へー』



「いまあの辺、観光客多いよねー。漫画の聖地にもなってるし」

「あ!踏切でしょ?俺もあの踏切行きたいんだよねー」

「Aちゃんバスケやってたから行くんじゃない?」



タマとみやっちの会話につい

「え、A、バスケやってたの?」

反応しちゃうと

「うん。高校でやってたって言ってたよー。チビだから相手が油断するから序盤は活躍出来るって笑ってた」

なんて、タマが俺が知らない話をし出す。



全然知らなかった。

ニカは知ってんのかな。
チラッとニカを見ると『俺には振るな』オーラが出てる。



それに気づかないみやっちやタマじゃない。
みやっちも俺に対するAが元気って報告なだけだから

「タマー、今日のオンラインゲーム。佐久間誘っていい?」

「なら俺も廉誘っていいー?」

2人でゲームの話をはじめて。



取り残された俺とニカは黙々とお弁当を食べる。

「ご馳走様でしたっ」

敢えて明るく言うニカが辛くて。



「千賀ー。遊ぼー」

「え、俺まだご飯食べてるんだけど」

「知らないよ、あと1口で全部食べてよ」

「無理だよ!ご飯まだ半分以上あるもん!!」

千賀がニカにおかずもご飯も半分以上あるお弁当を見せると

「じゃあ俺が千賀の口に詰めてあげるーっ」

ニコニコしながら千賀のお弁当を持とうとして

「やだ!ダメ!!」

拒否る千賀に「あははは!」ってニカが笑ってる。



完全にカラ元気。
見てて俺が辛い。

Aのバカ。
俺には連絡いらねーからせめてニカには連絡しろよ。



イライラしながら仕事を終えて帰ると
朝出掛けた時となんだか家の気配が違う。



………もしかして。



リビングに入ると
部屋は綺麗になっていて
シンクに置いたままのコップも脱ぎっぱなしの靴下もなくなってて
脱衣場には部屋干しした洗濯物たちが干されてて。



A、帰ってきたのか!?



慌ててAの部屋に行くと
ドアにはAの字で



『にぃへ
迷惑かけてごめんなさい。
近々荷物をまとめに来ます。

最後の最後までにぃを困らせてごめんね。

A』



涙であろう濡れた跡がついた手紙があった。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年9月20日 23時

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