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妹。 その後 5 -side F- ページ20

Aは本当に忙しそうで
LINEの返信も減ってくる。



そんなAに負担かけるのも、と思って
LINEの回数も何となく減るしそもそも連絡すらしてもいいのかな、って思った時に

「んんーー……」

昼休みにスマホの画面を見て健永が唸ってる。



「どした?」

「あ、ごめんなさい、昨日から彼女が元気ないから何か出来ないかなーって悩んでて」

「あぁ、そうなんだ?」



なんか、可愛いな。
彼女のために、って考えてる健永。



健永の彼女には一度会った事がある。

Aと同じ名前の子で
健永の隣に住んでて。

健永は本当は毎日彼女に会いたいのに
ある日元カレが彼女の所に来て
次に会った時にフラれるだろうから会いたくない、って
しばらくうちに泊まりに来てた事があった子だ。



「彼女って、隣の家のあの子だよね?」

「はい!」



周りも振り返るほどのいい返事をする健永は

「めっちゃ、可愛いんですっ」

こっちまで笑顔になるくらいニコニコして答える。



「でも最近上司が苦手な感じの人になったらしくて、ものすごく疲れてるんです。元気ないから、何か元気になってくれるようにしてあげられることないかな、って」



彼女に対して真剣な健永が愛しくて、羨ましくて

「いいなぁー」

呟くと

「え、いま困ってる話してたんですけど?」

健永は戸惑ってる。
そりゃそうだろう。



でも彼女のため、って考えたりする健永が羨ましいと思うくらい
俺とAは恋人同士なのに一緒に居られない。



ただ、健永は悩んでるみたいだから
例えばAが喜ぶことと言えばと思って言ってみる。

「仕事帰りに美味しいもの食べに行くのはどうかな?」

待ち合わせして買い物に行くのもいいけど
ご飯作って、片付けて、っていうのも
仕事しててさらに人間関係に疲れてる時はしんどいんじゃないかな。

Aも実習中に先輩がキツイって言ってた時は
よくAが好きなお店にランチや夕飯に連れて行ったのを思い出す。



「あ、確かに」

「でしょ?その後好きな映画見るとかもいいよね」

「あっ!ですねっ」



嬉しそうに笑う健永は早速彼女に連絡してるみたいで

「今日、ご飯と映画に行く事にしました!」

行動が早くて笑う。



「良かったね」

「はいっ!ガヤさんって、ホント完璧ですよねー。彼女になる人、羨ましいなぁ」



健永は無邪気に言うけど。





実際は
全然うまくいってなんかないよ。

Aに『元気?』や『会いたい』すら言えないんだから。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年4月17日 0時

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