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妹。 その後 1 ページ11

失敗した。

やっと。
やっっと。

やっとたい兄といい雰囲気になったのに。
兄妹から恋人になれたのに。



寝落ちしちゃった。



たい兄からのプロポーズ後。

お風呂に入って冷蔵庫で冷やしたパックをしてながらたい兄からドライヤーしてもらったら
気持ち良さにそのままたい兄に身を委ねたのが最後の記憶。
気づいたらベッドで当然パックは剥がされていた。



たい兄は既にベッドにいなくて。

起きてキッチンに向かうとたい兄が朝ごはんを作ってくれてる。



「おはよ、A」



たい兄は朝からすごく笑顔だ。



誘うだけ誘った私の態度を責めず
優しい笑顔で

「顔、洗っといで。フレンチトースト作ってるから」

って「昨日から漬けて準備してたんだよね」なんて言ってたい兄は微笑んでる。



どっちが彼女か分からない。



「たい兄」

キッチンに立つたい兄の背中に抱きつくと

「んー?どうした?」

お腹に回した手をポンポンしてくれるたい兄の手は温かいし声が甘い。
キッチン中に香ってるフレンチトーストと同じくらい。



「起きたら居なくて寂しくなった?」

「んーー……」



そうじゃないの。

キスより先に進むつもりだったのに。
たい兄ともっと恋人みたくなるつもらだったのに
そうなれなくて悲しかったの。

正直に言えたらいいのに
さすがに恥ずかしくて言えない。



「A」



たい兄から甘い声で呼ばれる。

キュンとする。

ようやく腕を解いたらたい兄からキスをしてくれる。




「ご飯食べたら寮まで送るから。次はいつ会える?」



寂しそうにたい兄が言うから

「え、たい兄寂しいの?」

「当たり前じゃん。またしばらく離れ離れなんだもん」

聞くと拗ねた口調で返すたい兄が可愛くて
キュンキュンが止まらない。



「んーー…しばらく夜勤続くから4日後かなぁ」

「その頃には俺が忙しいなぁ。Aの寮の近所泊まりに行けたらと思ったけど」

「え、来ていいなら私来るよ?たい兄と一緒に過ごせるだけでいいし」

「いいの?」



目をキュルンとさせて私を見るたい兄から
私が大好きって気持ちが溢れてる。



うわ。
たい兄、ホントに私が大好きなんだ。



「もちろん」

「じゃあ、遊びに来てね?」



たい兄からの何気無い言葉。

『遊びに来てね』って、私もう子供じゃないんだけど。



でもたい兄に嫌われたくないから

「うん」

素直にうなずく。



たい兄にとって私って、やっぱりどこか『妹』のままなんだろうな。

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作者名:shizu | 作成日時:2023年4月17日 0時

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