カカオ72% Part 5

カタチ。 40 -side Ki- ページ23

あ、やべ。

いま深夜2時。
マンションの前。

Aとニカが仲直りしたか分かんねー。
仲直りしてたらAはニカんちに泊まりに行ってるかも。

なのにニカに鍵渡しちゃった。

俺、家入れんのか？



チャイム鳴らしてみると

『はーい、開けるねー』

Aの声。



………ん？



ロックが開いてエレベーターに乗って
部屋の前でまたチャイムを鳴らすと

「にぃっ！おかえりっ！」

笑顔のAがドアを開ける。



ちょっと目が腫れぼったい。

泣いたな、また。



「……ただいま」

「おかえりー、遅かったね」

「わり、ちょっと飲んできた」

「じゃあウコン茶飲む？作っといたよ」

「お、飲んどく」



チラッと玄関の靴に目をやるとニカの靴は無い。



「ニカは？」

「ん？カギ置いて帰ったよ」

「…………そか」



お茶をいれてくれるAに

「ニカ、なんか言ってたか？」

声を掛けると

「んー？恋人になろうって」

Aはこっちを見ないで答える。



「そか。で？」

「うん、って言った」

「………そか」



可愛い妹がニカに取られて嫌だ、って思うかなと思ったけど。
俺にはにかんで笑うAが可愛いくて。

「良かったな」

素直に言えた。

「うん」

頷くAがやっぱり可愛い。



「で？具体的にはどーすんの？」

ここ出てくとか言われたら嫌だな、って思いつつ聞くと

「別に？何も変わらないよ」

驚いた顔でAがこっちを見る。



「え、恋人同士なのに？」

「え、出てけって事？」



お互いキョトンとしちゃう。



「………や、ニカんち住むのかと」

「………え、にぃ置いて出てけないんですけど」



テーブルにお茶を置くAが
脱ぎっぱなしの俺の靴下を拾うAが言う。



あ、やべ。
いま脱いだやつだ。

ここで脱ぐなって注意されたけど
酔ってるしすぐ脱ぎたくなっちゃったんだもん。



でもそんなの別に誰が困るわけでもねーし
そりゃ確かにAが出てくと生活は困るかもだけど
そんなの何とでもなるし。



それよりニカが寂しいんじゃねーの？



「私もいまの生活慣れてるし、ニカもずーーっと一緒に居たいタイプじゃないじゃん？だからこのままのつもり」



Aが靴下を持って脱衣場に持ってく背中を見送ってると
ニカからLINEが来た。

ニカ仕事お疲れ様
Aちゃんに鍵渡した

今後についてはまたちゃんと話します



最後の敬語に笑いつつ
まぁ、2人がいいなら2人の決断を見守るか、って思った。

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