カカオ72% Part 5

カタチ。 27 -side 2- ページ10

Aちゃんの誕生日以降
次のライブの打ち合わせが始まって
忙しくなる。

ある程度演出の案が出来たから
今日はメンバーの意見を聞く打ち合わせ。



その前に収録があったから
収録終わりに『この後移動して打ち合わせです』ってマネージャーが言うと

「あーそーだったかぁ」

着替えながらタマが言って俺を振り返って

「ニカー、ソロの相談したいから移動でニカの方に乗っていい？」

「うん」

「ありがとー」

ニコッて笑うタマ。



車に移動してタマと道中で打ち合わせして

「じゃあこんな感じの演出だね」

「うん」

何となくの方向性が決まる。



「ふぁー、なんか1年あっという間だねー」

「ホント、ずーーーっとライブの事考えてる気がする」

「あはは、ニカのおかげでどんどんライブ良くなってて楽しいよ」



タマと話してて
あぁ、この辺久しぶりに通るなぁ、なんて思って。

信号で止まる。

ぼんやり外を見てたらちょうどJRの駅前で
見覚えのある子がスマホ片手に立ってる。

Aちゃんだ。

久しぶりに見る。

少し髪が伸びて肩に着くくらいになってる。
膝丈のワンピースにショートブーツが似合ってる。



「あ」



つい声が出ちゃうと

「ん？………あぁ、Aちゃんじゃん」

身を乗り出してくるタマがAちゃんを見つけちゃう。

「だいぶ髪伸びちゃったね」

っていうタマの口ぶりからタマも会ってないみたい。
俺ももう2ヶ月会ってない。



顔を見ると改めて好きだ、って思う。

好きで好きで仕方なくて
会いたい、って思う。



そんな俺の顔を見たのかタマが

「………ふふっ」

笑い出すから。



「なに？」

「別にー」



そろそろ信号が変わる頃だな、なんて思ってたら
Aちゃんがスマホから顔を上げて。

ものすごく笑顔で手を振ってる。

そこへ近付く細身のパンツに短髪の1人。
細身で背も高い。



………男？



「ん？マキさんじゃん」



タマが言う。



誰？

マキって苗字？男？

Aちゃんはそのままその人と
こちらに背を向けて歩き出す。



Aちゃんがメンバー以外の人とどんな交流あるかなんて知らない。

またタマの方が詳しい。
それが悔しくて顔を逸らす。

「へー、外でも会うようになったんだ」

タマが呟いてるけど
興味無い顔をして連絡が来たフリをした。



どこの何をしてる人か知らないけど
またタマの方がAちゃんに詳しいのが悔しくて。

スマホをしまって
タマと話さなくていいように寝るフリをした。

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