カカオ72% Part 5

カタチ。 30 -side 2- ページ13

「っつーことで。Aに頼んだ」

「「「「はあっ！？」」」」



事務所の動画担当の人が
発熱で作業出来ない中で写っちゃダメなやつが写ってたり
最新のデータがミツのパソコンに入ってるらしい。

誰か動画編集出来て
あと1時間で対応出来る人は居ないか、ってなった時にAちゃんを思い出したミツ。



「来てくれるってー。ついでにデータも持ってきてくれるってさ」

「え、でもミツのパソコンのデータどうやって抜くの？」

「マネージャーがパソコン持ってきたことにすんの」



ミヤの質問に返すミツ。

言われてみたらマネージャーが1人いない。



そして動画の確認のために打ち合わせの部屋に集まって
少ししたら

「失礼します」

マネージャーと入ってきたのはAちゃん。
ミツのパソコン取りに行きながら迎えに行った事にしたんだ。



Aちゃんの髪がまた短くなってる。

………可愛いなぁ、やっぱ。



俺とタマとミヤは見慣れてるけど

「うわ！そっく、ングッ！」

ミツそっくりって言いかけて横尾さんに口を塞がれたのは千賀。



「俺のツレなのー。よろしく」

「初めまして、Aと申します」



事務所やスタッフに名刺を出して挨拶をするAちゃんは
ちょっとカッコイイ。



そして動画をチェックして

「ここをボカシますか？カットしますか？」

ってボカシをいれた例とカットした例をすぐに作る。



「早っ」

「どちらにします？」

「えっと、カットで」



他にいくつか編集してくれるAちゃんは

「以上ですね」

とものの5分くらいで終えちゃう。



「うわー、マジ助かった」

「お役に立てて良かったです」



ミツによそ行きモードで会話しながら片付けて立ち上がるAちゃんに

「「「「「「ありがとうございました」」」」」」

ミツ以外で立ち上がってお礼を言うと

「また何か機会あればお声掛け下さい。基本フリーで仕事してますので」

Aちゃんはスタッフに声を掛けて
俺たちには「失礼します」って会釈して帰ろうとする。



Aちゃんがその顔を上げた瞬間
バッチリ目が合う。



何となく、しばらく見つめ合っちゃう。



面と向かってAちゃんを見るのが久しぶりで。

久しぶりだな、とか
短い髪も可愛いな、とか
喋りたいな、とか
色々思ったら逆に何も言えなくて
じーっと見ちゃう。

そんな俺に一瞬、泣きそうな顔をする。

思わず固まっちゃった。



ヤバい、泣かせちゃう。




だから慌てて目を逸らした。

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