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秘めた想い その後 12 -side M- ページ1

事務所の引越し当日。

文具屋さんからヘルプで来てくれたのは
たまたまこっちに用事があった北山さん。

一番最初のきっかけは北山さんだし
用事があったとは言え今日来てくれるとか情に熱い人だな。



情に熱いからこそ、Aちゃんの事を心配してるんだろうけど。



Aちゃんは腹を括ったのか
飲み屋で今までのいきさつを話す。

Aちゃんからタマと距離を置いたって聞いてタマに電話した時は
タマが怒ってすぐ切ったけど
その数日後にまた電話をくれてどうしてこうなったか説明してくれていた。



ただ、タマのその時の説明と違ったのは

「フラれて当然なの。私、玉森くんの事を笑顔に出来なくなったから」

Aちゃんは自分が悪いって言うし
タマは試験の合格も誕生日も祝えなくてAちゃんを傷つけた、って言う。



これ、お互いの事を思い合ってるから離れただけじゃないの？



「玉森さんを笑顔にするうんぬんの前にAは？」



北山さんが冷たい声で言う。
無視してビールを飲み干すAちゃんは

「私の事なんでどーでもいいじゃん」

同じく冷たい声で返す。



北山さんとAちゃんは
学生時代から仲良かっただけある。

Aちゃんも北山さんも驚くくらい素だ。



それより何より気になるのは

「Aちゃん？飲むピッチ早くない？」

「早くない」

見た事がないくらいのスピードでビールを飲むAちゃんは

「そもそも宏光先輩に関係あります？私が玉森くんとどうなろうが関係ないですよね？」

「は！？何その言い方！俺がAにアタックしてた時あったじゃん！」

北山さんに噛み付いて北山さんも言い返す。



は！？

北山さん、Aちゃんが好きだったの！？
しかも『アタック』って！言い方古っ。



「え、北山さん、Aちゃんの事好きだったんですか！？」

「おうよ！告ったのにフラれたんだよ」

「えぇっ！？」



それ、タマピンチじゃん！

しかもうちの会社の男の子たちの中で
Aちゃん狙ってる子まぁまぁ居るのに！



「よく言うよ、結局自分はさぁ…」

「それとこれとは話が別！玉森さんなら譲れると思って身を引いたのにコレじゃ意味ねーだろが！！」



Aちゃんが言いかけても遮って北山さんが怒る。

怒られたAちゃんは泣きそうな顔。



「そもそも！Aは結局玉森さんの事どう思ってんの！？距離置くとか意味わかんねーよ！別れるなら別れろっつの！」



北山さんの言葉にAちゃんは……

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