検索窓
今日:3 hit、昨日:29 hit、合計:52,809 hit

嘘だらけの婚約者 その後 4 ページ31

「……はぁ」

「なに?どした?マリッジブルー?」

「ううん、むしろマリッジピンク」

「…………は?」



ランチも終わって今はカフェタイム。

今日はお客さんも多くない。

いつものように渉のお店で仕事してると
カウンターにはミツさんしかいないから漏れるため息。



ミツさんが心配して声をかけてくれるけど
私はブルーじゃない。

むしろ幸せのため息だ。



渉に毎日甘やかされて癒されてて
幸せで幸せで仕方ない。

渉が好きで好きすぎて、ため息しか出ない。



「渉がねー、優しいの」

「はぁ」

「毎日、ものすごく幸せなの」

「ほぉ」

「このままだと幸せ過ぎてバチがあたる」

「……ふーん」

「結婚したらこれ以上幸せになるんだよね。ヤバいかも」

「………」



ついに何も返してくれなくなったミツさん。
だから

「ヤバいよね?」

返事を貰おうと思って直接聞くと

「……そうだな」

ものすごくめんどくさそうにミツさんが言う。



「ねぇ!ちゃんと聞いてよ!私、困ってるの!」

「知るかよ、幸せならそれでいいじゃねーか」

「渉が喜ぶことしたいの。私ばっかり幸せでズルいと思うの!」

「………はぁ?」



怪訝そうな顔で私を見るミツさんは
私の顔を見てふざけてないって分かったのか

「ズルいって?」

聞いてくれるけど。
聞き返してくれてるだけで適当なのは分かる。

分かるけど。

「渉は全然幸せじゃないと思うの」

真面目に言うけど
ミツさんはぽかんとしてる。

そして少しして言う。



「Aって結構鈍いんだな」



ミツさんはコーヒーを口にする。



「え?」

「よこーさん、Aにベタ惚れだよ?幸せそーなの見てて分かんねーの?」

「全然」

「あそ」



呆れてから時計を見て財布を取り出すミツさんは
もう仕事に戻る時間みたい。



「まぁ、Aとよこーさんお似合いだから大丈夫しょ」

「……ふぅーん」



全然しっくりこない私はミツさんのお会計をしてミツさんを見送ろうとしたら

「あ、そだ」

ミツさんが振り返る。



「健康診断、受けといたら?」

「へ?」

「社員じゃねーと受けねーじゃん?ほれ」



既に自分の項目が書かれた人間ドックの紹介状をくれるミツさん。



「……へー、図書カードくれるんだ」

「そ、1000円分」

「てか、高いんだね人間ドック万単位じゃん」

「まーな。でも受けとくといーぜ」



確かに会社勤め辞めてから健康診断も受けてないな。





………嫁入り前に受けておくか、うん。

嘘だらけの婚約者 その後 4 -side Y-→←嘘だらけの婚約者 その後 3 -side Y-



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (124 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
319人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

深雪(プロフ) - 嘘だらけの婚約者、その後の話が読みたかったので嬉しいです。 (2022年11月21日 0時) (レス) @page28 id: a8c1d7b9de (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - pupupupu8887さん» コメント気づいてませんでした!ごめんなさい💦 横尾さん編もようやく始まりましたので是非! (2022年11月8日 20時) (レス) @page26 id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
pupupupu8887(プロフ) - いつも更新が楽しみです❤︎ (2022年9月25日 9時) (レス) @page2 id: e7fcebeb01 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:shizu | 作成日時:2022年9月25日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。