すぐ近くにいる another story 11

秘めた想い その後 13 ページ3

目が覚めた時。

見覚えのない天井。



………あれ？ここはどこ？



体を起こすとものすごい頭痛と
昨日の引越しによる全身筋肉痛で体が怠い。

布団の上だけど服は昨日のままだし、
コンタクトが目に貼り付いて痛い。



記憶の糸を辿る。

確か昨日終わってから宏光先輩と宮田くんと飲んでて……



…………そこから記憶がない。



寝かされた部屋を見渡す限り
失態をして行きずりの一夜を過ごした感じでは無さそうかな。



布団から出て部屋を一歩出ると
おだしのいい香り。



人の声がする部屋に向かうと

「おはようございます、Aさん」

Aちゃんの笑顔と

「あ！おはよう！Aちゃんっ」

朝から元気な宮田くん。



どうやらここは宮田くんのおうちみたい。



「ごめん、昨日私……」

「あはは！びっくりしたよね！Aちゃん泣いて寝ちゃったからさぁ、おうち分からなかったから連れて来ちゃった！」



朝から元気な宮田くんの声は二日酔いの頭に響く。
それに気づいてくれたAちゃんが

「俊哉さん、声大きいですよ」

「おっと！これは失礼っ」

注意してくれてもその声もまだ大きい宮田くんはニコニコしてる。



「え、すごくごめん。めちゃくちゃ迷惑かけたね」

「ううん！全然大丈夫。調子どう？」

「んー、ちょっと二日酔いかな」

「そっか、あれだけ飲んだらねー。しかもAちゃんがここまで飲んで酔っ払うとか初めてだよね。大丈夫？」

「……あはははは」



もう笑うしかない。

とにかく恥ずかしいから帰ろう。



「宮田くん、Aちゃん、どうもありがとう。帰るね。シーツとか洗って返せばいい？」

これ以上迷惑かけられないしひとまず帰ろう。
宮田くんは

「えー！朝ごはん食べて行きなよ！」

言ってくれるけど。



さすがに昨日の引越しの後だし帰ってシャワーを浴びたい。



「お腹空いてないから。しかも悪いし」

「全っ然悪くないっ！食べて行きなよー」



慌てて言う宮田くん。



………おかしい。

何でこんなに宮田くんは慌ててるんだろう。



「ううん、悪いし帰るね」

「いや！そこをなんとか！」



必死な宮田くんに感じる。
絶対これ、嫌な予感的中だ。

例えば宏光先輩と連絡取ってて
お兄ちゃんと先輩が連絡取り合って説教されるとか？



逃げなきゃ。



「帰る」

「ダメ！あと少しっ」



ほら！

『あと少し』って完全に足留めの流れじゃん！



カバンを掴んだ瞬間に



ピンポン



チャイムが鳴った。

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