カカオ72% Part 3

つぎの一歩 8 -side T- ページ8

ドラマの撮影が始まって
Aちゃんがうちに来始めた。

と言うものの。

2週間経った今もAちゃんに会えていない。
LINEで『いまから始めます』『終わりました』って連絡が来てるだけ。

ただ、うちはものすごく綺麗。
洗濯物も溜まってない。
冷蔵庫を開けるとご飯が入ってる。
生活用品が途切れない。



撮影期間でこんな快適な事ある？



しかも冷蔵庫に入れたご飯を食べなくても
次の日は違うものが入ってる。

全部めちゃくちゃ美味しいから
ホントは全部食べたいけど食べ過ぎると体型にも出ちゃう。



ただ、Aちゃんに家事をお願いしてるおかげで撮影に集中出来た。
その感謝を込めてある時からテーブルに

『いつもありがとう』

ってお手紙を書いたら

『とんてもない
ドラマ楽しみにしてるよ！撮影頑張ってね』

ってお返事が置かれていて。



それが楽しかったから
交換日記みたいにノートにお手紙を書くようにした。



裕太『今日は遅くまで撮影です。頑張ってきます！』

A『お仕事お疲れ様です！トイレットペーパー買い足しますか？』

裕太『助かるー。ティッシュもよろ。
おまけ☆冷蔵庫見てみて。』

A『冷蔵庫にプリンありがとう！美味しかったです！』

裕太『差し入れの余りだけど。喜んでくれて良かった。
今日もよろしくお願い申し上げます。ぺこり。』

A『めちゃくちゃテンション上がりました！
さっきドアに足の小指ぶつけました。とほほ。』

裕太『それ痛いやつ！気をつけてね。
痛いの痛いのとんでけー どんだけ〜』

A『ありがとうー 飛んでったよー
チャーハン作ってみたよ！ 背負い投げ〜』

裕太『チャーハン美味しかった！ワンタンスープも！
今度一緒に食べたいな まぼろし〜』

A『撮影落ち着いたらね
あーもうあと決めゼリフわからないやー』

裕太『俺の勝ちー 羽交い締め〜
早く終わる時連絡するね！
ちなみに来週の月曜日早いよ』

A『あ！それがあった！！
来週月曜日は仕事あるの。ごめんね』



……ちぇーっ。

ダメか。



でもその日帰った時に
リビングに電気がついてて。

「え！？」

慌ててリビングに駆け込むとAちゃんがテーブルに突っ伏して寝てて。



「Aちゃん？」

声を掛けると慌てて起きて

「え！うそ！寝てた？」

って慌ててて。



…無理なお願いしてたのかな。

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