カカオ72% Part 3

つぎの一歩 48 -side T- ページ48

Aちゃんは本当に分かりやすい。
なんならニカも。

2人とも会えてる時はお互いテンションが高い。
会う日や会った次の日は2人とも元気だ。

そしてモメたっぽい時は2人とも不貞腐れてて
付き合いたての中高生か、ってツッコミたくなる。



今日もAちゃんはとても元気。

「Aちゃん、最近めっちゃ元気だね」

「そう？」

返すAちゃんは自分が分かりやすい事に気づいてなかったみたい。



「うん。オーラがめっちゃハッピーっぽい」

「そんな事ないよー」

「あるあるー」



ニカのおかげでしょ？なんて言いたくない。

でも前にうちでバラエティ見てた時のニカの女優さんに対するリップサービスと
それを見てた時のAちゃんの切なそうな顔。

あんなに悲しそうなAちゃんの顔は
見たくないし
かと言ってもニカと仲良いAちゃんを見るのも嫌だ。



「浮気者だなー、俺の彼女さんは」

ギューって抱き締めると

「してないよ？裕太くん一筋だよ？…大好きだよ、裕太くん」

優しい顔で振り返って言うAちゃん。



そんな顔して言われたら
ニカだったら「大好き」なんて言ったらすぐコロッとAちゃんに勘違いするだろーね。



「……どうだか」



少しは意識しなってゆーの。

Aちゃんのほっぺにチュッてキスして何食わぬ顔で映画見てやった。




そんな事があった数日後。

「おつかれーっ」

仕事が終わると慌てて帰るニカ。



「おー、おつかれー」

「また明日ねー」



ニカが出る直前に

「ニカ！忘れもん」

ミツがニカに何かを投げる。
それを受け取ったニカは「……あ、そか」ってポケットにそれを入れる。



何となく察する。

今日この後ミツはまだ撮影あるし
Aちゃんはうちに来る。



って事はそれはミツんちの鍵なんだろーな。



黙って見ちゃうとそれに気づいたニカが

「……何？」

変に動揺してるから分かりやすい。



「別に？」

「あっそ」



ニカは何だか余裕そうでそれがムカついたから

「Aちゃんならこの後うちに来るから」

「…知ってるし」

面白く無さそうに言うニカ。



へー、ニカ知ってるんだ。



「今日、帰すの遅くしよっと」

「別に構わないよ。ミツんちでDVD見るだけだし」



そしてニカは

「タマは辛くないの？」

哀れんでとか同情じゃなくて普通に言う。

自分の方が立場が上な事なんてニカは知らないから
本当に心配してる。




だから

「さぁね」

教えてあげない自分は意地悪だ。

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