カカオ72% Part 3

つぎの一歩 30 -side 2- ページ30

どうしたんだろう？

何でAちゃんは泣いてるんだろう？

泣いてた事をミツに言っちゃダメ、って言ってたから
ミツと喧嘩でもしたのかな。

確かに今日のミツは元気ないように見える。
カメラが止まったら顔が死んでる。



でも、俺が心配なのはAちゃんだし。



撮影が終わると
俺と千賀は今日の仕事がこれで終わりで。
皆は次があったから
マネージャーが送ってくれようとするけど

「タクシー呼んどいてくれたら自分で帰るよ」

って提案すると
マネージャーも千賀を送るだけで他のメンバーの仕事に着けるから助かるんだろう。



終わったら連絡するって言ったのに事前に連絡して変に緊張されたり身構えられたりすると嫌だったから
連絡しないでそのままミツんちに行く。

Aちゃんはまだ怒ってたりもっと距離感感じるかと思ってたら
思ったよりもあっさりしてて
しばらく会って無かったのが嘘みたいに普通だった。



ただ、Aちゃんの目は泣いたせいか少し腫れぼったいし
顔も強ばってて。



焼酎を見せても

「これ好きなやつ！でも飲んだ事ないから嬉しい！」

って言ってはいたけどあまり笑ってなくて。



大丈夫かな、って心配しつつキッチンについてくと
ものすごいたくさん野菜やらお肉やお魚があって。

全部これから天ぷらにするって言う。



「え！揚げたて食べれるの！？」

「うん」

「うわ！いいの！？食べていいの！？」

「こんなに沢山1人じゃ食べられないし」

「やった！」



思わず笑ってちゃうとAちゃんも笑って。

やっと笑顔が見れた。



「あ、やっと笑った。さっき泣いてたから心配して急いで来たんだけど」

そう言うと一瞬泣きそうになったAちゃんは

「ごめんね、心配かけて。でももう大丈夫だから」

泣きそうな顔で笑ってる。



また無理して。
相変わらず素直じゃない。



だからつい顔に手を伸ばしてほっぺを摘むと

「痛いっ」

Aちゃんが抗議するけど
そのほっぺの感触に何か違和感。



……………ん？こんな感じでAちゃんの顔に触れた事あった？



熱出してた時はおでこしか触ってないのに。

顔に触れた事あった？
しかもそんなに遠い過去じゃなくて。



違和感は置いといて

「前に言ったよね、辛かったらミツに言えなきゃ俺に言いなって」

まずはAちゃんに説教をすると

「辛くないもん」

まだ意地を張るAちゃんは
少なくともタマに言ってる様子は無さそうで。




正直、そこはホッとした。

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