カカオ72% Part 3

つぎの一歩 3 -side You- ページ3

ニカの家から帰ると
ホッとしたようなしないような。

荷物のうち1つはニカが持ってってくれたから
私はキャリーで帰るだけ。



帰ってまず家に入った瞬間

「……汚っ」

玄関ににぃの靴が3足も出てる。



お掃除ロボットくんが頑張ってくれるのは床だけ。
棚とかにうっすらホコリがある。

「………もーー！！」

ニカとの生活の感傷に浸る間もなく
家の掃除をする。



冷蔵庫は空っぽだし
ゴミ箱にはレトルトのものとかコンビニのものとか入ってるし。

半分は今日私が帰ってくる想定だろうけど
それにしても洗濯物も溜まってるし

なるほど、これはにぃが私に出ていくなって言うわけだ。



洗濯物を干してひと段落すると
空を見上げた。



………忙しくて助かったかも。



昨日の夜、ニカにキャンプに誘われた時

「うちでまたやろーよ」

楽しそうにニカに言われて『うん』って言いそうになった。



でもニカは私を好きな訳じゃない。
私もニカをこれ以上好きになっちゃダメだ。

後戻り出来なくなる。



だから返事しないで寝たフリをした。



そしたらニカから

「……ふふっ、ホントに、1週間ありがとう」

甘い声で言われて泣きそうになった。



何でそんな甘い声で言うの？
勘違いしそうになるよ。

悲しくて寝袋のニカに寄り添って目を閉じる。



全然眠れなかったけど
ニカにくっついている、というだけで何だか嬉しくて。



外が明るくなるまでニカにくっついていた。



さっさと家に帰ってニカとの日々を忘れるために
いい勢いで家を片付けてるとにぃが帰ってきた。

「……おかえり」

「ただいまー、……って、にぃ、どしたの？」

久しぶりの再会なのに
にぃは凄く浮かない顔をしてて。



「……実はさ、タマがニカとの話聞いて『ハウスキーパー』やってくんねーか、って」

「はぁっ！？」



何それ！！

ニカ何を言ったの！？
しかもハウスキーパーって何！？



「や、ニカとの話したのは俺だよ？タマがこれから長期でドラマやるもんで家の事出来なくなるからその期間だけでいいから、って」



私の顔を見てにぃが慌ててフォローするけど。



……いい訳ないじゃん。
断ろうとしたら

「ただ、これは仕事の話で。給料発生するし仕事の話だから」

「仕事？」

内容は掃除洗濯とか家事全般と裕太くんからの買い物リストを買ってくる事と
裕太くんが休みの日は行かなくていいらしい。

本当に家の事だけするみたい。



………仕事か。



なら、考えてみようかな。

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