カカオ72% Part 3

つぎの一歩 13 -side You- ページ13

さすがに自覚していた。
ニカが好きって。

ニカが好きだから
誰かと間違えてしたニカからのハグも激しいキスも悲しいだけだったし
女優さんにデレデレしてるニカを見るのも辛かった。



そもそも人の気持ちなんて変わるよね。

日本に来る前は結婚を決意した人が居たのに
他の人(ニカ)を好きになれるくらいなら
また他に好きな人が出来るかもしれない。

いや、出来ると思う。



でもそれなら逆にずっと好きな人なんて居ないんじゃない？

そう思ったら
好きな人なんて作らなくていいや、って思った。



好きになった分
失恋の反動が大きくて
その心のストレス考えると
もう人なんて好きになりたくない。

いま思えばいろんな人を好きになったけど
もうこれ以上好きになる事なんてない、と思ってても
たいてい次の人現れて
また失恋して、を繰り返すなら
もう好きな人なんて要らないや。



裕太くんに改めて過去の恋愛の話をして
自分の気持ちに整理がついた。



「婚活とかもしようとしたけど、自分以外の人のこと考えたり一喜一憂するの疲れたし。もう1人でいいって思って」



うん、そうだ。
恋愛とかもういいや。

にぃとずっと過ごしていこう。
遠い未来もしにぃが誰かと結婚するなら1人で暮らそう。



そうと決まれば

「だからね、裕太くん。『好き』って言ってくれて嬉しいけど私はもう1人を好きになるとかしないから」

裕太くんにちゃんと伝えた。



もういいの。
恋はしないの。

その方が結果的に楽だから。



すると裕太くんは一瞬難しい顔をしてから

「それはフラれる理由としては弱いなー」

相変わらずの笑顔で言う。



「一喜一憂の『喜び』の時もあるでしょ？『喜び』がいっぱいになったらずーっと楽しいじゃん」

裕太くんはポジティブな事を言いながら

「俺はAちゃんとなら、ずーっと楽しい気がする」

にっこり笑って言うけど私は全然ピンと来なくて。



「何でそう思えるの？」

「んー、何だろ？空気感？ゲームへの集中力が一緒だったり話してて楽しかったり」



そして

「好きになるのって理由ないよね」

裕太くんから言われて確かにそっか、とは思うけど
私がいいと思ってもらえる理由が全く分からない。

「そっかなー……ごちそうさまっ」

この話はもう終わろ、と思って立ち上がったら
空のお皿を下げようとしたら裕太くんも立ち上がると
お皿を取ろうとした私の手を取ってそのまま引き寄せて。



次の瞬間には裕太くんの腕に包まれていた。

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