カカオ72% Part 3

つぎの一歩 12 -side T- ページ12

色々話が繋がった。

前にミツんちに行った時にAちゃんが泣いてた事も
その時にミツが『誰が悪い訳じゃない』って言った事も。

ただ、ニカがオススメのドラマの話をした時のAちゃんのリアクションを見る限り
Aちゃんはニカの気持ちには気づいてないし
ミツはそれをAちゃんに伝えてない。



だから

「いつからなの？」

「え？」

「Aちゃんがニカと付き合ってんのって」

ご飯を食べながらカマをかけて聞いてみると

「ニカはただの友達だし。ニカだってあのドラマの女優さんみたいな人がタイプでしょ？」

ムッとした顔をしてるAちゃん。



ほら、好き合ってるのにAちゃんは気づいてないリアクション。

これ、いわゆる両片想いってやつじゃない？
すごー。



そしてニカとAちゃんの両片想いが凄いな、と思える俺は
そんなにAちゃんの事を好きじゃないのかな。

ニカに負けたくない、ってだけなのかな。



「それこそさー、Aちゃんの恋愛遍歴聞かせてよ」

「恋愛遍歴？」

「ほら、この立場だと恋愛とか出来ないじゃん？だから色々な人の話を参考にさせてもらってるの」

「えーー………」



ちょこっとズルい聞き方で聞いてみるとAちゃんは少し迷ってから

「……にぃには言わないでよ？」

少し照れくさそうに初カレの話とかをしてくれた。



甘えん坊なAちゃんっぽい話ばかりで
好きな人が出来ると彼にベッタリな話でキュンキュンしちゃう。

他にも遠距離恋愛をした話や
会社の取引先の人を好きになった話とか
色々話してくれた。



でも最近の恋愛となると
どうやらAちゃんは何でも対等に話せるタイプが好きみたい。

言いたい事を言い合えて
好きな人に守ってもらったり養ってもらうというよりは
自分もちゃんと生活して一緒に頑張るタイプの様子。



確かにAちゃんはお仕事してるもんね。

Aちゃんが頑張り屋さんなのは
YouTubeの内容やミツのうちや俺のうちの綺麗さからも分かる。



一通り話してくれた後で

「でもね、もう好きな人は要らないんだ」

痩せ我慢や無理してる感じじゃなくて言うAちゃん。



「なんで？」

「………もう疲れちゃった」



力なく笑うAちゃんは

「婚活とかもしようとしたけど、自分以外の人のこと考えたり一喜一憂するの疲れたし。もう1人でいいって思って」

何だか寂しそうで。



完全に誰かが浮かんでるのも
それがニカなのも丸わかりだった。

つぎの一歩 13 -side You-→←つぎの一歩 11 -side Ki-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す