さいしょの一歩 12 -side You- ページ44
玄関を出た後
「あー、ついた」
にぃの車の後ろに乗り込む。
「……ホントに来たじゃん」
にぃがびっくりして私を見てる。
「あー、ここまで来るだけで必死」
「んな事言っててどーすんだよ。ニカんちは1人で入れよ?」
「えっ、にぃ来てくれないの?」
「異性と外歩けるか!誰が見てんのかわかんねーのに」
……まぁ、にぃの言う通りだ。
ここから先は自分で何とかしないと。
「とにかく、外に出られたからこれからは買い物くらい行けるよ」
「いーよ別に。今まで通りにぃが買うから気にすんな」
「えー!私が外に出た意味っ」
これでもう少しにぃの役に立てると思ったのに!
「だってにぃ忙しくなるんでしょ?買い物も私が行けたらにぃ楽になるじゃん」
それが一番の外に出るきっかけなのに。
にぃは
「……いーよ、にぃが買いに行く」
言いながら何だかニヤニヤしてて。
「何ニヤニヤしてるの?」
「だってAはにぃのために行動してくれてんだろ?そりゃ嬉しいだろ」
ニヤニヤは気持ち悪い(←悪口)けど
にぃが嬉しいって思ってくれたならいいか。
ニカんちに着くと路地裏に停めるにいは
「なんかあったら電話しろよ?」
車から降りれないから特大キャリーに超デカスポーツバッグの私を心配そうに見てる。
「…連絡出来ればね」
こんなの歩くだけで必死だよ。
体力作りまで計算してなかった。
何とかニカんちに入ると無事入れた事をにぃに報告して
シャワーを浴びて自分のバスタオルで拭いて着替える。
当然、脱衣場の髪拾いも忘れない。
改めてニカの家の中を探索する限り女の人の気配もない。
寝室ではニカが浅い呼吸で寝てて。
冷えピタ貼ったり飲み物をベッドサイドに置くと
キッチンを借りて持ってきた果物を一口サイズに切ったり
起きた時に食べられる簡単なものを作っておく。
起きてきたニカに
「ニカのおかげで外に出られたから、今度は私がニカを助ける番」
来た理由を伝えるとすごく真剣な顔で私を見てる。
……怒ったかな。
何を色々勝手にしてんの?って思ったかな。
もしかしてシャワーの心配なら
「あ、シャワーなら浴び……」
たよ、って言う前にニカの腕の中に居た。
久しぶりのニカの腕の中は
熱があるのと寝起きだからものすごく熱くて。
でも心地いい。
「…これ、夢?」
ニカに聞かれるけど
「夢じゃないよ」
またニカの腕の中に居られてるとか
逆にこれは夢なのか私が聞きたいくらい。
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作者名:shizu | 作成日時:2022年4月5日 22時