カカオ72% Part 2 (ページ43)

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さいしょの一歩 11 -side 2- ページ43

………あれ？

どのくらい寝たんだろう。

Aちゃんと電話したような
してないような。

まだ熱が下がりきってないのか頭がぼーっとする。

でもおでこがひんやり冷たい。

あれ？
冷えピタすら無かったはずなのに。

後でマネージャーにドアまで届けてもらおうと思ってたんだけど。

もしかして誰か様子を見に来てくれたのかな。

………いや、うつったら困るから誰も来ないか。

とりあえず、トイレ行こ。

起き上がって違和感。

あれ？

枕元にお水とかある。
しかも保冷機能つきでストローも刺してある。

偏頭痛なのか熱の頭痛か分からない頭痛と戦いながら
寝室を出るとリビングに明かり。

あれ？電気つけたままだったかな。

とりあえずトイレを済ませて
リビングに行くと

「あ、起きた？」

自分のノートパソコンに向かってるAちゃん。

…………これは夢？

辺りを見渡すけど間違いなくここは自分の家。

ミツんちじゃない。

「…何でここにAちゃんが？」

やっぱりこれ夢？

「あー、やっぱりニカ覚えてない。ニカが言ったんだよ、来れるなら来いって」

「え、嘘っ」

電話してた気がしたのは気のせいじゃなかったんだ！

動揺する俺にAちゃんは困った顔で笑って

「ごめん、半分嘘。私が先にニカんとこ行こうか、って言った」

立ち上がるとキッチンに向かって

「でね、にぃにお願いしてここまで連れてきて貰っちゃった」

冷蔵庫から何かを取り出すと

「熱出てると何か食べた方がいいよね。果物と雑炊下ごしらえしてあるから食べられるけどどっちか食べる？」

って聞いてくるAちゃん。

………いやいや、それより

「出られたの？家から」

「うん！めちゃくちゃ緊張したよー」

聞くとAちゃんは普通に言うからホントに緊張したの？って思う。

「でもね、ニカが電話でしんどそうだったから。ニカに恩返ししないとって思って来たの」

Aちゃんはサラッと言うけど
Aちゃんこそドア開けるだけであんなにしんどそうだったじゃん。
それなのにうち(ココ)まで来たの？

さらにAちゃんはニッコリ笑うと

「ニカのおかげで外に出られたから、今度は私がニカを助ける番」

って近づいてきて俺を見上げるから。

ホントはここまで来るの怖かったはずなのに。
心配して俺のために来た、って言われたら堪らなくて。

「あ、シャワーなら……」

Aちゃんが何かを言いかけてたけど
抱き締めた。