カカオ72% Part 2 (ページ33)

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さいしょの一歩 1 -side You- ページ33

ピンポーン

チャイムの音。

そして鳴るスマホ。

ニカ着いたよー

LINEが来てドアスコープを覗くとニカが手を振ってる。

「いきまーす」

声を掛けると

「はーい」

ドアの向こうからニカの声。

よしっ。

鍵を開ける。

ドアノブを握る。

「一度、深呼吸して？」

ニカの声。

言われた通りに大きく息を吸って吐く。

ドアノブを持つ手が手汗でベタベタになる。

大丈夫。

ドアの向こうにいるのはニカだよ？

そう思ってるのに。

いつの間にか息をするのを忘れてて

「………はぁっ」

呼吸が荒くなるから慌てて息を整える。

ドアにドン、と手をついちゃうから

「Aちゃん？大丈夫？」

音にびっくりしたニカが声を掛けてくる。

「…大丈夫、へーき」

返事をするけど呼吸が荒いのが隠せないから

「え、ちょっと、Aちゃん、ドア開けるから一度離れて」

ニカが言うから下がるとドアを開けたニカは

「もー！全然大丈夫じゃないじゃん！」

外が私の視界に入らないようにニカの体でカバーしてすぐにドアを閉めると
肩で息をしてる私の背中をさする。

あ、優しい。

しかもニカの大きい手、気持ちいい。

けどいまそんな事を伝える余裕も無い。

息を整えてると

「とりあえずお水飲も」

持ってたペットボトルのお水をくれちゃう。

当然、未開封。
間接キスなんて甘い事はしなさそう。

「大丈夫、後で飲む」

「ホント？大丈夫？」

「うん、ありがと…」

深呼吸して呼吸が落ち着くとニカがホッとした顔をしてる。

「どーする？もう1回チャレンジする？」

「うん、………いい？」

「もちろん。ミツまだ帰って来ないんでしょ？」

「うん。今日は遅いって」

だから、夕飯も食べてってくれないかな。

一緒にご飯食べたいな。

思わず見つめちゃうと

「じゃあ、出られたらチーズ増しで出られなかったら普通ね」

なんてニッてニカが笑うから。

やった、一緒に食べてくれるんだ。

ニヤけそうになるけど

「えー、ピザ限定？」

いつもの憎まれ口を叩く。

「カレーでもいいよ。カレーのトッピング有りか無しか」

「…カレーのトッピング無しは切ないな」

これは負けられない。

そう、ニカにお願いしてるのは
外に出る練習。

前に『いくらでも付き合うよ』って言ってもらえたから
そのお言葉に甘えている。

ニカに会いたくなった私は
ニカが会うのを断れない理由で呼び出した。

………ずるいなぁ、私。