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メンバーとメンバーとメンバーの妹 10 -side You- ページ4

……これで足りるかな。

目の前には大量のキャベツと玉子とネギとお好み焼き粉。
男の人3人ってこんなもんで大丈夫なのかな。



混ぜ合わせながら
中に入れる用のチーズやキムチや美味しいか分からないけど納豆も用意して
片っ端から切っていく。



………あー、邪魔だなー。
袖がズルズル落ちてくる。

今日もにぃが買ってくれたダボッとした薄いピンクのパーカー。
にぃはショートパンツをまた用意してたけど持ってたスキニーを合わせてみた。

ダボダボだからすぐに落ちてきてものすごく不便。

仕方ないから1度脱いでシャツの状態で野菜を切りまくる。



と、にぃたちがやって来た。

まだ野菜を切り終わってないからお迎えにも行けない。



「ただいまー……って、お前、なんつーカッコで野菜切ってんの?」

半袖Tシャツ1枚の私にリビングにやって来たにぃが焦ってて

「だってそれズルズル落ちてくるんだもん」

「あーもー!マジでこーゆーとこ!こーゆーとこがダメっつってんの!」

にぃは私がリビングに置きっぱなしだったパーカーを持ってきて私に被せる。



「痛いってば!にぃ!」

「知らん!」



にぃはボソッと私の耳元で「色々見えてるっ」って言うから思い出す。

あ、これほぼ下着か。
家の中だしにぃしかいない生活だから忘れてた。

だからにぃは服に気をつけろだの化粧しろだの言うのか。
しかもギリギリはしたないこのカッコを見られたのが恥ずかしい。

慌ててしゃがみこむ。



………特に、見られた相手が。
『その人』が人前であんなカッコする人なんだ、って思ってたら困る。

めちゃくちゃ嫌だと思った。

あんなカッコ恥ずかしいし、嫌われたらどうしよう。
初めてそう思った。



「ねぇ、Aちゃーん。なにか手伝うー?」

玉森さんの声がする。
咄嗟に何も出てこない私に

「おー、ホットプレート出すの手伝ってー」

にぃが代わりに言ってくれて私の頭をポンポン、ってすると離れてく。



どうしよう、嫌われてないかな。
見損なわれてないかな。



カウンターの下でモソモソとパーカーを着て立ち上がると
ニカがカウンターから

「この辺は運んでいい?」

油とかひっくり返す用のヘラとかを手にして言う。

「…うん」

「はーい」

返事をするとニカはそのまま手にしたものをテーブルに運んでいって
次に来た時に

「準備大変だったよね。ありがと」

私を見るとニッて笑うから。


笑顔を見てホッとした。






ニカに、嫌われたくなかったから。

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作者名:shizu | 作成日時:2022年4月5日 22時

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