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sweet & bitter 11 -side You- ページ30

にぃにもう誰も連れて来ないでって言ったら

「我慢すんなって」

って私に甘いから言うけど
さすがにもう無理だよ。



色々悲しくなって全然眠れなくて。

背中から抱っこしてくれるにぃがポカポカで
いつもなら眠くなるのにうとうとはするけど眠れなくて
朝になっちゃう。



にぃを起こさないように腕をそっと解いてキッチンに向かうと
私とにぃが飲み過ぎた時に作る出汁茶漬けの出汁を作る。

トッピングは海苔とネギがあればいいかな。

ネギを刻もうと思って冷蔵庫に向かうと
玉森さんがリビングのドアを開ける。



完全に二日酔いの顔をしてる。



「おはようございます」

「おはよ、ごめんね、昨日」

「いえ、私が飲ませすぎたしテーブルに芋ロック置いてたから」

「芋ロック?」



ほら、玉森さん記憶無くしてるし。

あーもう最悪だ。

だからもう来ないで、って言うと自分から言い出したのに悲しくて泣いちゃうから
さらに最低だな、私。




そんな私に玉森さんはライブでやってた尖らせた唇を見せてきて
つい笑っちゃうと玉森さんは

「やっぱ、Aちゃんは笑ってる方がカワイイよ」

って指で涙を拭いてくれちゃう。



さらに飲み過ぎたのは自分のせいだって言う玉森さんは

「それにね、俺がAちゃんに会いに来るのはAちゃんが大好きだからだよ」

って言い出す。



…………えっ?



それって人として、って事だよね?って聞こうとしたら

「飲みすぎたのもココに来るのも、Aちゃんが居るからだからね」

玉森さんの顔が近づいてきて私の頬でチュッ、と音がする。



「だから、何も気にしないでね」



天使みたいな笑顔。




………いやいや!

「気にするよ!逆に!」

「えーなんで?」

「だって!玉森さんは…」

「あーそれもやめて?『玉森さん』じゃなくて『裕太』でいいよ、俺の方が年下だし」

ニッコリ微笑む玉森さんの笑顔は二日酔いでも可愛い。



いや、それどころじゃない。



でも何て言っていいか困ってるとにぃが起きてきて

「…どした?そんなとこで」

お腹をポリポリ掻きながら呑気に言うにぃに

「あ、お兄様おはようございます。いまね、Aちゃんに告白してたとこー」

って玉森さんが言うから。



フリーズしたにぃが

「…………は!?」

覚醒すると

「だからまた遊びに来ていいよね?」

玉森さんは私を抱き締める。



にぃと玉森さんが何やら言い合うけど
私の頭には何も入って来なくてただただパニックだった。

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作者名:shizu | 作成日時:2022年4月5日 22時

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