太陽の当たる場所 11

after Let Me 3 ページ39

どうしよう。

ご近所さんの話をしたら
ニカが困ってるのが分かる。



せっかく起きてるニカと久しぶりに会えてるのに
こんなに沈黙なの勿体ない。

………って、ニカをこんな顔にさせてるのは私だけど。



ニカと約束したから。

もう黙って居なくならない、って。

だからちゃんと伝えたし
1人で抱えるのも辞めた。

それでニカが離れよう、って言うなら仕方ない。



でもニカは

「ひとまずそっちの家に行かないようにする。だからAも出来るだけココに居て？」

なんて、離れるって選択肢は無い感じで言う。



でも全然笑ってないから
多分ニカは困ってる。

どうしていいのか分からないんだろう。

私だって引っ越しが正解かなんて分からない。
引っ越し先が安全かなんて分からないもの。



「ひとまず、色々物件見てみる」

「……ん」

「相談は乗ってね」

「もちろん」



ニカは声は明るく答えてくれてるけど
全然笑ってない。

まぁ仕方ないよね。



「ご飯今から作るけど何かリクエストある？」

「…ごめん、この後後輩が集まってるとこに顔出すんだ」

「………そっか」



仕方ないよね、ニカも忙しいもん。
あからさまにシュンとしちゃう私にニカが笑って

「すぐ帰って来るから一緒に晩酌しよ」

頭を撫でて言ってくれるから嬉しくて。
単純な私は

「うんっ」

ものすごく笑顔で頷いちゃう。



そんな私をニカが無言で抱きしめてくれるけど
多分ニカは後輩たちに『もうちょっと飲みましょうよ』って言われたら断れないから
すぐに帰って来ない。

でも後輩や友達を大事にするニカが大好きだから
寂しいけどニカに抱きつき返して

「遅かったら先に寝てるね」

って言うと
ニカも遅くなる可能性がある自分を分かってるから「ん」って甘めの声で返事をして私の頭を撫でてくれる。



あぁ、ニカにめちゃくちゃ甘えたいなー。
でもワガママ言うのも良くないし。

せめてニカを味わっておこう、と思って
ニカの胸で深呼吸をしてると

「A」

優しい声でニカが呼ぶから顔を上げたら
チュッ、と音を立てて唇が重なる。



……わ、久しぶりのキスだ。



驚いてると

「行ってきまーす」

耳まで真っ赤になって照れた顔で言うニカは
相当恥ずかしかったのかこっちを振り返らないでリビングを出る。



嬉しかったから
ニカが帰って来るまで待とうかな、と思ったけど
日付変わる頃になるとさすがに眠くて。



あぁ、ニカとまたすれ違いだなって思いながら
眠りについた。

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