太陽の当たる場所 11

after Wait for You 13 side 2 ページ22

一度電話したら
ものすごく電話したくなって
ほぼ毎日電話してた。

そしてしばらく電話しなくなって
でも余裕出来るとまた電話して…を繰り返して
季節は夏を越えて秋になる。



配信ライブが秋に決まって
そのライブが終わった次の日に

『ニカ！めちゃくちゃ良かった！』

興奮したAから電話が来て
あれが良かったこれが良かったって感想を言われた。



さらにこだわった演出がAから気に入られて

『すごく楽しかった！最高だったよ！』

ニコニコ報告してくれるAに
配信だとみんなの反応見られないから
隠し事が出来ないAの声が聞けて嬉しかった。



そして、隠し事が出来ないAから
元カレの事も聞けた。
再会から現状を話されるまで包み隠さず話してくれた。

『いまめちゃくちゃ付き纏われてる』

うんざり、って顔で話すAは
追われた時に大将のお店に逃げて幼なじみに助けてもらったらしい。



「充君が彼氏って勘違いしてるかもしれないけどニカよりいいし」

「はあっ！？それどーゆー意味っ？」

「え？ニカって正直に言ってニカに迷惑かかるくらいなら充君だって勘違いしたままでいいと思うし」



『ニカよりいい』が
『ニカより充君の方が良い』って意味で言ってないのは分かったけど
ある意味複雑。

だってAは

「ちゃんと充君が庇ってくれたから大丈夫だよ」

って嬉しそうに報告してるからなんならその幼なじみに少しときめいてると思う。



でもある日の夜テレビ電話した時に

「今日お休みでしょ？何してたのー？」

飲みながら聞いたら

『ニカ見てた』

ってこっちを見ないで言うAは
いつもと違う俺にカッコイイって思ってくれてたんじゃないかな。
その証拠にいつもと違って全然目が合わない。

「え？なに？」

『…何が？』

「全然こっち見ないじゃん」

『そう？』

Aをアイドルの自分がドキドキさせる事が出来たなら
俺ってすごくない？なんて思う。



だから早くまた一緒に住みたいけど
なかなかそーもいかない。

ようやく『もういいかな』と思えたのはAの職場で定期的に検査する制度を取り入れて
千賀の復帰も決まった頃。



「そろそろ良くない？東京同士だし、お互い定期的に検査してるし。近くに陽性の人出たら別々で暮らすとして。お互い引くほど潔癖だから問題ないと思うんだよね」

聞いてみると

『そうだね』

って上ずった声で返すAは
嬉しそうなのを必死に隠してて。




めちゃくちゃ可愛い。

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