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after Wait for You 7 ページ11

アキがガレージに来たその日は
気が重くて。

まっすぐ帰りたくなかったし
叔父さんのお店に顔を出した。



こんな時にニカの家っていう選択肢が無いのが
ものすごく辛い。



「Aちゃん!」

久しぶりに会う叔母さんは
生き甲斐の接客が無いからか少しやつれてて

「Aちゃーん!」

祐介君は泣きそうな顔をしてる。

充君はクールに手を上げるだけ。



そして叔父さんは嬉しそうに笑ってくれて

「よく来たな、なんか食うか?」

言ってくれたけど。



「叔父さんたちに何かあったら困るからやめとく」

「…そうだな。ありがとう」



マスクも外さないで
距離を取って話すことにした。



叔母さんがそれでも色々持って帰って、ってお店にある料理を包んでくれてる間に
インスタを見てガレージにアキが来た事と今後取引先になりそうな事を報告すると

「…そうか」

叔父さんは悲しそうに呟く。



「インスタ見たよ!あのAちゃんのセンスないダンスめちゃくちゃ笑った!」

祐介君は楽しそうに言ってくれるけど

「喧嘩売ってる?」

さすがに酷くない?

「歌は上手いのにね」

充君まで言い出すからさすがに落ち込む。



今度はTikTok撮るってなったら1日練習時間を設定させてもらおう、なんて思う。



「もう過去だしね、アキに会っても大丈夫」

「…でも」

「だってガレージで働くの楽しいし、あの世界でピリピリするのよりこっちが向いてるよ」



あの世界はとんでもない緊張感だった。
誰か1人のミスで何が起こるか分からないし怪我や死にも繋がるわけで。

それは今の整備の仕事もそうだけど。
お客様1人1人に向き合ってる今の仕事は
ものすごく楽しい。



けど
レースでチームが勝てた時の喜びは他の比にならない。



でも今の私は
ニカと過ごす時間が一番楽しかった。



じわっと涙が浮かんで来そうになって
それを昔を思い出したと勘違いした叔父さんが

「やっぱアイツ出禁にした方が…」

怖い声で言い出すから

「ごめん、違うの!別の事だから!」

慌てて否定してとにかく帰る事にした。



お店を出てバイクに跨ると

「Aちゃん」

充君が顔を出して周りに人が居ないのを確認すると

「彼氏に会えてないんでしょ」

小声で聞いてくる。



「……うん」

「そっか。だからさっき半泣きだったんだね」



近づいてくる充君は
私の頭にヘルメット越しに手を乗せて

「俺たちで良ければココにいるから」

そう言われて嬉しくて
ただ涙を堪えて頷いた。

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yuzu_(プロフ) - 分かりました!楽しみにしてます! (2021年12月11日 13時) (レス) id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)
shizu(プロフ) - yuzu_さん» ごめんなさい、仕事がバタバタしてるのもありますが他のも更新してて…💦もう少々お待ちください<(_ _)> (2021年12月11日 8時) (レス) id: 9bf290c5ee (このIDを非表示/違反報告)
yuzu_(プロフ) - もう更新してませんか…? (2021年12月11日 0時) (レス) @page12 id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shizu | 作成日時:2021年10月24日 16時

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