Quite Talk

ジンクス(すぐ近くにいる ki) 8 ページ17

あの後宏光は
私がしばらく住むマンスリーに
一緒にやって来て

「ん、ここなんだ？」

場所を把握すると上がって部屋を見渡す。



部屋からレインボーブリッジが見える。
お台場の観覧車も。

「へー、いいとこだな」

キョロキョロ見渡すとベッドを見てシングルベッドなのを確認すると

「……えっちする時ちょっと狭いし寝にくそー…イテッ」

ニヤニヤしながら言うから無言で背中をぶつ。



「また来るなー」

玄関で言う宏光に

「帰り、気をつけてね」

見送る時の声を掛けると
今まではそのまま帰ってた宏光はなぜか腕を広げてる。



「…何？」

不思議そうにしちゃうと

「ん？昔は帰る時にハグとちゅーしてたじゃん」

私の腕を掴んで引き寄せる。



抱き締められたら
今日は別々で寝るんだ、って改めて寂しくなる。



そのまま上を向かせられて唇が重なる。



チュッ、とリップ音がして
宏光が離れると
あぁ帰っちゃうんだ、って自覚して悲しくなっちゃうと

「………そんな顔されると帰りたくなくなるけど」

困った顔で笑う宏光。



慌てて

「大丈夫、またね」

言いながら手を振ると

「今日だけだぞー」

宏光は笑って靴を脱いでまたうちに上がる。



「えっ」

「明日早起きするからそれは付き合えよ」



そのまま部屋に入っていくから

「え、だって明日仕事でしょ？」

慌てて止めるけど宏光はクルッて私を振り返って

「Aの『大丈夫』は大丈夫じゃねーの」

優しく抱き締めてくる宏光は

「俺も今日くらい、Aと居たい」

そのまま舌の絡まるキスをしてきて。



「…壁薄そーだから声我慢しろよ？」



いつもよりどこか優しく抱かれる。



ものすごく気持ち良くて満たされて
声が我慢出来ないくらい気持ちいい。



次の日の朝の見送りで
また抱き締めてキスをくれる宏光は

「今日金曜日じゃん。仕事終わったらうち来いよ」

「え、こっちに着替え持って来たりしようとしたんだけど…」

この週末は1ヶ月分の荷物運ぶつもりだった。
なのに宏光は

「んなの日曜日でいいじゃん。帰り車で送るからそん時荷物運べよ」

ニッて笑うと触れるだけのキスをして

「んじゃ、また夜なー」

パタン、とドアを締めて行ってしまう。



…まだ行くなんて言ってないのに。



仕事を終えて
さすがに慣れない仕事で疲れて。



宏光の家に向かうと宏光が居て

「おかえりー。メシ出来てるよ」

って笑ってる。



嬉しかったけど
今だけなんだろうな、って思った。

ジンクス(すぐ近くにいる ki) 8 ki→←ジンクス(すぐ近くにいる ki) 7 ki

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す