Quite Talk

ジンクス(すぐ近くにいる ki) 6 ki ページ14

「いーよ、言えよ。
遅くなるたび毎回言ってもいーよ」

Aが聞きたいなら
何回でも聞いてくれていい。



「何回でも言うよ。『ちゃんと断ったよ』って。『Aしかいねーから』って。Aが分かったって言ってくれるまで『2番目も3番目もなくて俺は彼女だけです』って言ってきたよ、って言うから」



昨日それを先に言えなかった自分が
めちゃくちゃ残念。



全然めんどくさくなんかねーよ。

妬くってことはそれだけ俺が好きってことだろ？
毎回自覚出来るとかサイコーじゃん。



「Aじゃねーとダメなの」



それが全てなんだけど。



「好きで、すげー好きで。一緒に過ごすと癒されて、たくさんワガママ言えて、家に居てくれるとホッとして。そんな奴、Aしか居ねーから」

今までこんな気持ちになった事ねーんだけど。
なのに

「…そんなの他の誰かでも平気になるって」

今日のAは全然納得してくんない。



それだけ今の俺は
Aが好きで大切だって事をAに伝えられてないって事。



「なんねーよ。俺が嫌なの。Aが他の誰かになっちゃうのが」

「そんなのわかんないじゃん、他の人でちゃんと試してみなよ。宏光なら誰でもご飯作ってくれるし一緒に過ごしてくれるよ」



ほら、今のAにとって俺の態度って
一緒に過ごしてくれるだけの人になってるって事。

先輩たちの忠告通りだな。



「分かった。違うな。俺がAと一緒に過ごしたいだけじゃなくて、Aが他の誰かと一緒に過ごす方が嫌だ。Aを泣かすのも、笑わすのも、怒らせるのも、嫌われるのも全部俺がいい。俺だけがいい」



Aが他の人と過ごすって考えただけでも嫌なのに。
二階堂と笑ってたって聞くだけでムカつくのに。

それを伝えてもAは何も言わない。



最近の俺がもうどーしよーもないとこまで来てるんだな。

ホントにAに甘え過ぎてた。

Aが居るのが当たり前なんてない。
それを改めて自覚した。



「Aがそう思っちゃうのって最近の俺がわりーの。先輩たちにも注意された。3年目のジンクス舐めんなって」



頭を撫でるとか久しぶり。
こんなに愛しいのに。

それすらしてなかったんだな、最近は。



「マジで、ホントにAがいーの。ホントにAだけ居ればいーの。他の誰も代わりになんねーから」



どんだけ伝えてもAは黙ったまま。

「……まぁ疑われてもしょーがねーよな」

俺の言動は
簡単には許されねーよな。

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