Quite Talk

ジンクス(すぐ近くにいる ki) 12 ページ25

観覧車から降りると
写真とフォトフレームを買う。

「記念にうちに飾ろ」

ニッて笑う宏光に頷いた。



「あー、腹減ったな。なんか食って帰ろ」

「そうだね…あっ、豊洲に美味しい焼き鳥屋さんあるって教えてもらったよ」

「へー！行こーぜ」



ゆりかもめにも手を繋いで乗る。

まあまあ空いてるのに私たちはくっついたままだった。



「…なんか、付き合いたてみたいだね」

宏光に言うと

「え？こーゆーの良くない？おじいちゃんとおばあちゃんになっても手繋いで歩こーぜ」

なんて繋いでる手をブンブン振って言ってくるから。



嬉しくて頷いたら

「ん、これもさっきのに追加な」

って宏光も笑う。



『行ってきます』と『ただいま』のキスに
手を繋いで歩くが追加されるって事かな。



いいな、楽しんそう。

ただ、続くのかな、宏光は。
すぐ飽きそうだけど。



……っていうのが顔に出たみたい。

宏光はムスッとして

「もー、ちゃんとするって。…ってまだ1ヶ月だもんな。そりゃそんな顔になるか」

1人で納得して照れくさそうに笑うと

「今回のAをめちゃくちゃ傷つけた事は忘れらんねーもん。こー見えても反省してんの」

ギュッて手を握ってくる。



「でも、無理はしないでね？」

「ん、ちゃんとキツい時は言う。だからAも言えよ？」

「うん」

「ホントかー？」



宏光はまたおでこを合わせてきて
今度はグリグリしてくる。



「もうっ、ここ外！恥ずかしいよ」

「クククッ、めっちゃ照れてるA新鮮だな」



恥ずかしくて周り見れないよ。

なのに宏光はケロッとしてて。



「会社の人とか宏光の営業先の人居たらどうするの？」

窘めても

「それならそれでいーだろ。説明の手間省けるし」

止めてくれる気配は無い。



…ホントにいいのかな。



チラッと宏光の顔を見ると楽しそうに笑ってるから
宏光がいいならいいか、って思えちゃう私は
宏光に甘い。

宏光が望むなら恥ずかしい事も嫌じゃないし
一緒に観覧車に乗った彼とは別れる時に涙も出なかったのに
その時に思い浮かべたのが宏光だったってことは
やっぱり宏光が大好きなんだな、って思った。



「宏光」

「ん？」

「好きだよ」



改めて言うと宏光は

「…なんだよ、Aもノリノリじゃん」

ふざけて誤魔化してるけど耳まで真っ赤になってる。



うん、こういう所も好きだ。



宏光がずっと笑顔で居られるように
私も私に出来る事をしよう。

宏光の笑顔を、私が守りたい。

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