太陽の当たる場所 10

after Dahlia 16 side 2 ページ26

ダサいかもしれない。
いや、めちゃくちゃダサい。

お揃いのブレスレットをつけ忘れた俺に
『それがどうかした？』って顔をしてるA。

めっちゃ悲しくなった。

時計はしてるのに
こんな時くらいしか着けられないブレスレットを
忘れて来ちゃうとか。

Aだって怒ってくれればいいのに。
なんのためのお揃いなの？って。



そもそもだよ。

「何でもっとワガママ言ってくんないの？不安なのを教えてくんないの？」

言いながら泣きそうになってくる。

「頼ってよ！ワガママ言ってよ！もっと怒ってよ！」

そんなに俺には言いにくいの？



でもAは

「だって、ニカが困ると思って…」

戸惑ってる感じで言うけど。



俺にとっては

「Aが居なくなる方が困る」

今回めちゃくちゃ思った。



いや、こーして毎回Aが居なくなる度に思う。

今回本当にダメかもってなった時に
足元がすくわれて地につかない感覚だった。

Aのおばあちゃんからのフォロー無かったら
あのまま自分がどーにかなってたかもしれない。



「疲れた時もAがうちに居るなら早く帰ろうって思うし、Aが一緒に寝てくれるからちゃんと寝るし、本当にAが大好きなの」



カッコ悪くてもいい。
ダサくてもいい。

Aがもう二度と勝手に居なくならないように
俺にはAが必要だ、って
黙って居なくならないでってちゃんと伝えなきゃダメだ。



「もうね、俺、A無しじゃダメなの」



Aだって『ニカ好き』って言ってくれてたじゃん。

嘘だったの？
違うよね？



「ねぇ、いいの？Aは俺無しでもいいの？」

いよいよ目から涙が零れてきて
それをAに見られたくないから顔を見られないように抱きしめた。



「……ねぇ、いいの？」

黙ったままのAに聞くと少しして

「……嫌」

呟くと

「ニカじゃないと、嫌。ニカがいないと、やだ。でも、ニカが、笑っててくれないのは、もっと嫌」

ギュッてAが抱き返す力が少し強くなった。



…やっぱり。

結局全部俺のためだった。
Aは俺の事だけを考えてた。

その気持ちだけは嬉しかった。
俺のために、っていう。



でもそんなんで喜ぶ訳ないじゃん。

「……Aのバカ。Aがいないのに、笑えるわけないじゃん」

さすがに涙が止まらない。



「A、言ってくれたじゃん。俺が居るから頑張れる、って。俺だってそーだよ？」



いつも一緒に笑ってくれるAが
本当に必要なんだ。

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