太陽の当たる場所 10

after Dahlia 11 side ki ページ16

二階堂との電話が
謎過ぎた。



なんだ？

電話にすげー勢いて出たと思ったら
ぼーっとして。

AちゃんにLINEじゃなくて電話しろとか。



つーか誕生日なのに
Aちゃんと一緒にいないわけ？



…こりゃめんどくさい事になってんな。



「どうでした？」



マネージャーであり彼女のAが声を掛けてくる。



今日のニカの仕事がニカがずっと大好きな芸人さんとのバラエティだったから
本人から言われた訳じゃねーけどおそらく彼女であろうニカの『友達』のAちゃんの叔父さんのお店で
ニカとメシを食えたらなー、なんて思ってた。




「んー、ダメだった」

「そうですか。じゃあ今日は薮さんと飲みまでお店で待ちますか？」

「んー……」



生返事をしながらニカに頼まれてたし
アドレスをスクロールしてAちゃんに電話をする。

…繋がらない。

もう一度念の為掛けてみるけど
同じように電源が入ってないか電波が届かな場所に、って言われる。



……これはもしや。



「な、ちょっと寄ってくんない？いつもニカと行くとこ」

Aに声を掛けてみると

「はい？」

Aが既に薮と飲む店に向かってハンドルを切ったところだったからびっくりしてる。



連れてってくれたAを車で待たせたまま
店に入る。

「大将ー」

「おっ！いらっしゃい！」

迎えてくれる大将はご機嫌で。

特に変わった様子もない。



「Aちゃんとニカいるー？今日Aちゃん誕生日でしょ？」

「あ！知ってるんだ！さすがチャラ男っ」

「あはは！失礼しちゃうなー。…近く通ったから居るならお祝いしたいなーって思ったんだけど」

「そーかい？今日は2人ともいないねー。ニカちゃんには最近全然会えてないよ」



大将は至って普通。

ってことはAちゃんが連絡つかない事を知らないっぽいな。



「そっかー。…じゃ、また来ますっ」

「あいよー」



カウンターのAちゃんの幼なじみも普通だった。
女将さんにも手を振って車に戻る。



「おかえりなさい」

「ん」

「動きます」

「んー」



待っててくれたAに
返事をしつつ考える。



様子のおかしいニカ。

繋がらない電話。

知らない様子の大将たち。



俺が首をツッコミ過ぎるとニカは嫌がるだろうけど
それより連絡がつかないAちゃんが心配だ。

…となると俺にできる事は。




「A」

「はい？」



巻き込んで申し訳ない、と思いつつ言う。



「悪いけど1つ頼まれてくんない？」

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