太陽の当たる場所 10

after Dahlia 27 side 2 ページ48

「…あれ？」

Aを腕枕した数日後
久々に休みが被って。

お笑いのDVDを1枚見終わったからAが次のDVDに変えてる間に
メモパッドへ明日の予定を書こうとしてペンが無いのに気づく。



「どうしたの？」

Aが振り返るから

「これのペン知らない？」

声を掛けるとAが呆れた顔で

「…だから言ったじゃん、ちゃんと元の位置に戻さないと無くすよ、って」

テレビに向き直るから
探すのを手伝う気配は無さそう。



確かに最後に書いたのは俺で

『明日お休み！一緒にDVD見よう ニカ』

って書かれている。



ってことは俺だ。

どこ置いたかなー。



昨日書いたのはキッチンで
飲みながら書いてて…

その時Aは花瓶の水を替えてて。

『その花、なんて名前？』って声を掛けたら
『これはガーベラ。白いから最初に咲いたお花と似てるよね』ってAが言ってて…



「あ！」



大きな声を出したからAが振り返る。

「…何？」

「寝室だ！」

その横にあったタブレットに
体温計の読み込みしようとして寝室に体温計取りに行ったんだ。



体温計を取りに行くとその横にペンがある。
そして体温計は今朝の記録が残っていた。

ってことはAここにあるの知ってたじゃん。



リビングに戻ると

「あった？」

声を掛けてくるAが少し憎たらしい。



「知ってたなら言ってよ」

「ニカ戻さないんだもん」

「Aも困るじゃん」

「だから私は自分の用意したから」



なんて太さを変えられるペンを
リビングの引き出しから取り出した。



「えー、何それ！俺も使うー」

「ダメ。ニカ無くすもん」



Aは引き出しに戻してコーヒーを啜ってる。



そんなAが豆をブレンドしたミルクたっぷりのコーヒーは
ものすごく美味しい。

「ね、俺にもいれてよ、コーヒー」

「もー、さっき言ってよ。ペン探す間に準備したのに」

文句を言いながらもソファから立ち上がるAは
ついでに一輪挿しも持ってやって来る。



「一番最初に咲いた花の名前、覚えてる？」

「ダリアだっけ」

「そう。白のダリアの花言葉が『感謝』なんだって」



俺の隣に来るAは

「ちなみにガーベラは『希望』ね」

「へー」

「お花っていいね」

ニコニコしながらお水を替えてる。



それなら。

その横で明日の予定とメッセージを書く。



『Aの花言葉は『俺とずっと一緒』』



意味不明な俺の花言葉に少しして気づいたAは
楽しそうに笑ってくれた。

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