太陽の当たる場所 10

after Dahlia 19 side 2 ページ32

意味が分からなかった。

何で俺の責任でもあるのに
Aが1人で決めようとしてたのか。

関係ないじゃん。

合意の上とは言え
俺のせいでもあるじゃん。



そしてやっと分かったAの本当の気持ち。



「もし、出来てたら、笑って欲しかったの…」

ポツリと呟くAに

「私が母親にどう思われてるか分からない子だから、もし出来たらそんな子になるかも、って思ったら怖くて言えなかったの」

涙声で言われて思い出した。



Aは前にAのお母さんがパパじゃなくて
今のお父さんをずっと好きだったって言ってた。

だからAは2人に祝福されて産みたいっていうのが強かったんだ。



「でも絶対ニカ困るじゃん。立場だってあるし。私だって困るよ、いま仕事大変なのに」



ほら、Aはまた俺の事ばっかり。
俺の事なんかどーでもいいのに。



「検査薬の結果はね、陰性だったの」



そう言うAの顔は悲しそうな、ホッとしたような顔で。

あ、陰性だったんだ、って分かった途端。
ホッとしたのが半分、残念なのが半分で。

残念、って思った自分にちょっとびっくりする。



なのにAは

「ね、そうなるじゃん。良かったって顔に出せないみたいな顔。その顔見るのも怖かった」

って俺の気持ちを決めて言うから。



違うよ、そうじゃないよ、って言いたかったけど
そのままAに吐き出してもらう事にした。



「私ね、ホッとしちゃったの。ニカの事大好きなのに、子供が出来てなくて良かったって思ったの」



……やっと分かった。

Aはそれが悲しかったんだ。
それで不安になったんだ。

そして、そんな自分を責めてる事も。



俺との子が出来てなくてホッとして
俺の事が好きなのか不安になったって事か。



俺が好きか不安だって言うけど
会えた時や抱き締めた時やキスした時に
何でこんなに『好き』がAから溢れてるの？



もうそれが答えじゃん。



抱き締めると俺のコートに涙や多分鼻水がつくのをAが気にしてて
そんなAが愛しくて。

全部俺を優先しちゃうAが心配になる。
もっと自分を大切にしなよ。



「もう、何でそう全部1人で抱えちゃうの？」

めっちゃ寂しいんだけど。

「何でAがそんな辛い思いしてるのを分けてくれないの？何のために俺が居るの？」

俺はAの笑顔を守るためにも
居るんだけど。



ほら、また涙出て来ちゃったよ。



「…Aのバカ…っ」



でもそんなAが
大好きだよ。

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