太陽の当たる場所 10

after Dahlia 15 side 2 ページ24

前に新潟に来た時。

Aのパパのお墓から
旅館に向かう途中で
大きな公園に通りかかった。

外から見てるだけなんだけど
なんかいいところだな、なんて運転しながら見ていた。



Aは大泣きした後で
言葉少なだったのに

「ここね、昔パパとよく遊んだ公園」

ポツリと呟いた。



「へー」

「家族でたまに来てたんだ。芝生でお弁当食べたりアスレチックで遊んだり。お散歩したり」

『家族』にはお母さんも含まれてたのかな。
なんて聞いていい雰囲気では無さそうだったから

「そうなんだ」

って流した。



「最近でも考え事したい時とかパパのお墓参りの後によくここに来てたんだ」



懐かしそうに見てたから
もし1人なら来てたんだろうなってその時にぼんやり思ってた。



だから、いまのAなら
その公園に行くと思ってたらビンゴだった。



高速を降りて少しすると
スマホにメッセージが来てる事に気づく。
路肩に止めて確認すると

『他のところで会おう』

Aからショートメールが来てるけど。



ショートメールってことはまたLINE消したね？
ホント懲りないよね、A。



『ダメ。近くになったら連絡するから暖かいところで待ってて。』

返してから後はとにかく公園に向かう。



暖かいところなんて公園の周りに無くて。
これはまたやらかしたって思う。



Aのスマホを鳴らすけど全然繋がらなくて。

ここから逃げたのかな、なんて不安になりながら公園を歩き回る。

確かにそこそこ人が居るけど
帽子被ってマフラー巻いてメガネしちゃえばそんなに気付かれない。



ね、そんなもんだって。



大きな池があってそこを回ってみると
ベンチでぼんやりしてる子がいる。



……Aじゃん。



空を眺めて今にも泣きそーな顔をしてる。
でも泣くのを我慢してるような顔。

しかも首に何も巻いてないじゃん。

寒いでしょ！

女の子は冷やすなってゆーし
いまのAを考えたら……



でももういまAは
感情がめちゃくちゃなんだろう。

見たことがないくらい不安そーな横顔のAを見たら
こっちまで泣きたくなる。



「A」

近づいて後ろから抱きしめると
俺に気づいたAが

「…ごめんなさい…」

聞いた事がない
振り絞るような声で謝ってくる。



それだけ追い詰められてるAに
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。



少しして俺の手に手を重ねてくれたAの左手には
プレゼントしたお揃いのブレスレットが光っていた。

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