この想いの結末は 10

after そしてそれから 33 ページ6

Aside


太輔に悲しそうな顔をさせてる原因が
さっきの私の態度なら
申し訳なくて。

周りに人がいないのを確認すると
太輔の頬に触れてみる。



すべすべの肌が気持ち良くて。

意味不明な私の行動に太輔がびっくりして私を見たけど
優しい太輔はしばらくそのまま私にされるがままになってた。



腰に回された手が一瞬太輔の方にグッと引き寄せられて

「…そろそろ行こっか」

私の耳元で太輔が囁くように言って腰に回した手を解く。



返事の代わりに頬に触れている手ごと私の方に寄せて
太輔の頬に少し触れるだけのキスをする。

太輔が驚いてるけど

「うん」

頷いて頬に触れていた手を離すと太輔が微笑んで

「ん」

太輔の頬に触れていた私の手を取ると
そのまま手を繋いで歩き出す。



…そういえばここで前もこうやって歩いたな。

あの頃は太輔とこんな関係になれるなんて
思ってなかったけど。

「思い出すね」

太輔に言うと

「ん？何を？」

わざと聞いてくる太輔はやっぱり企み顔をしていて。



だから何も言わないで水槽を眺めてると

「初めて人に『毛布』って言われてびっくりしたなー」

太輔から言い出す。



「ホントに毛布みたいだったんだよ」

「それおかしいからね？人に対して毛布とか」

「今もそうだよ。太輔の近くってすごく落ち着く」



ギュッと手を握ると照れたように笑う太輔は

「おかしいなー、俺ってキャーキャー言われるキャラのはずなのになー」

少しわざとらしい口調で言うから

「カッコイイよ、太輔」

実際、カッコイイし
今でも耳元でのイケボや笑顔には見惚れちゃうもん。

でも恥ずかしくてちょっとからかう口調になっちゃうと
太輔は照れた顔をして私を見つめてくる。

「…なに？」

あまりにじーっと見られてなんだか恥ずかしくなってきた。



「認められたい人に『カッコイイ』って言われるとこんなに嬉しいんだな、と思って」



太輔は嬉しそうに笑う。



『認められたい人』って私？

嬉しくて私も笑うと太輔が手を繋いでいない方の手で私の頭を撫でて

「…さっきはごめん」

本当に申し訳なさそうに太輔は言う。



「さっき？」

ここでキスしたこと？
と思ってたら

「写真。Aは俺との事考えて言ってくれてたのに全然分かってあげられなかったから」

写真の事を先に謝られちゃう。



違うよ。

太輔は悪くない。



太輔と離れちゃうきっかけになるものを
一つも作りたくないけど
言い方が悪かったのは私だ。

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