太陽の当たる場所 9

4U 8 side 2 ページ10

「ニカっ！」

満面の笑顔で
リビングに入ってきたA。



カウンターキッチンで飲んでた手を止めて

「おかえりー」

声を掛けるとキッチンまで来たAが

「ニカーーっ！」

嬉しそうに飛びついてくる。



「わっ」

「認めてもらえたーっ！取引続けてくれるってー！」

「そっか、良かったねー」



こんなに笑ってるAを見るのが久しぶりで
嬉しくて思い切り抱き締めて笑っちゃう。



「ニカ」

「んー？」

「ニカっ」

「なにー？」

「二ーカーっ」

「もー、なに？」



Aも楽しいのか
ずっと嬉しそうにしてて。

ギューって少し痛いくらい抱きついてくるから
同じくらいの力で抱き返す。



「…好き」

「ん、知ってる」

「ものすごく好き」



甘えてくるAがめずらし過ぎて。

シャワー後の同じ香りの髪の香りや
ボディソープの香りが堪らなくて
Aの首元に吸い付いた。



「……っ」



身を竦めるAと我慢してる声の気配。

ほろ酔いなのも手伝って
服の隙間から手を入れると

「…っ、ニカ…っ」

弱々しい声で止めようとしてるけど
Aも期待してんのかな。



肌に手を滑らせてると近くで「ブブブッ」てスマホが揺れる音。

俺のはキッチンカウンターに置いてるから
Aのポケットのスマホの音だ。



Aのスマホが鳴るのって珍しい。

…あ、もしかしたら
明日の出掛ける連絡なのかな。



そう思ったらものすごく嫌で。

全然違う連絡の可能性だってあるのに
溢れる感情が止まらなくて
Aの胸の膨らみにいつもより強めに触れる。



「…っ、ニカ…？」



いつもと違うからAが戸惑ってるのか
不安そうに呼ぶけど。



不安なのはこっちだよ。



「…っ……ん」

漏れるAの声に興奮して
どんどん息が荒くなってAに触れる手の動きも荒くなってくる。



「だ…め……ッ」

Aが俺を止める声も弱々しい。



そんなんじゃ止められないよ。



どこにも行かないでよ。

無防備にさらけ出された首元に
思い切り吸い付く。

多分普通のシャツじゃ隠れないようなところに
跡が残る。



「ニカっ？」



さすがにAが気づいて抗議の声を上げるけど
その声を塞ぐように唇を重ねて
思いきり舌を絡ませた。



嫌だよ。

他の人と出掛けないで
ずっとここに居てよ。



不安をぶつけるように
少し荒くAを抱いて。

でもAはそんな俺に何も言わなくて。



何だか色んな事が
うやむやになってる気がした。

4U 9→←4U 8

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す