太陽の当たる場所 9

after Dahlia 4 ページ49

田原先輩は
次の日も熱が下がらず
私とオーナーで仕事をする。



今日も帰りが夜中になり
卵ご飯だけ食べて寝ることにした。

ベッドに行くとニカが既に寝てて。

ニカを起こさないようにそっとベッドに入る。



そのままニカが寝てたから
ホッとしてニカに寄り添って目を閉じる。



疲れて帰ってきても
ニカがいるっていいな。



ニカの体温にホッとして眠る直前

「……A？」

布が擦れてニカが起き上がる気配。



…あ、ニカ起きちゃったんだ。



でも私が起きていられない。
目すら開かない。



「起こしてごめんね…」

「ううん、それは全然いいんだけど…」

「…おやすみ」



もう限界。
眠ろうとしてるのに

「ね、A、聞いて欲しい事があるんだけど…」

ニカが真剣な声で何かを言ってる。




ごめんね、ニカ。

もう眠いんだ。



意識を手放して次に気づいたのは

pipipipipi……

めざましの音。



止めて起き上がるとニカがまだ寝てて。

ニカを起こさないように
そっとベッドから出た。



窓辺の一輪挿しはまだ咲いてなくて。



咲かずに終わるかな。

なんて思いながら水を入れ替えて茎の端を切る。



惣菜の容器に『ニカ』って書いてあるものを避けて
書いてないものを選んで温めて食べると
いつもより早く家を出る。

案の定、今日も田原先輩はお休み。

次々と運ばれてくるバイクを
片っ端からオーナーと修理してると
いつの間にか昼休みになる。



スマホを見るとニカからLINEが来てる。



ニカ今日も帰り遅い?



…きっとそうだろうな。



A多分
夕飯も作れない
ごめんね



送ってスマホを置くとすぐ震える。

ニカもう返事くれたのかな、って思って見ると
おばあちゃんからのメールだった。



『誕生日会えなくて残念だけどまた遊びに来てね』



………え？



メールを見て思い出す。

一昨日も昨日も
ニカが何かを言いたそうにしていた事を。



そっか、やっぱりダメになったんだ。



…まぁ仕方ないよね。



『また遊びに行くね』って
おばあちゃんに返事をして
ため息をつく。



いざ行けないってわかると
さすがにショックだな。

でもそれよりも
ニカがお祝いしてくれようとしてくれた事や
LINEとかじゃなくて直接言おうとしてくれた事や
おばあちゃんにちゃんと連絡してくれた事が嬉しくて。



そして
ニカが今日早く帰って来れるか聞いてきたのは
この事なんだな、って分かった。



なら、早く帰ろう。

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