太陽の当たる場所 9

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そしてその後。

季節は夏になって
ニカのツアーも終わって
いつもの日々が戻る。



今日はうちのリビングで1人でくつろいでると

「ただいまー」

シャワーを浴びたニカがリビングに入ってくる。

「おかえりー」

ニカを振り返るとニカは嬉しそうにニッて笑う。



色々理由をつけて
私の家の鍵を何とか返してもらった私は
先に夕飯を食べてオートバイの雑誌を読んで過ごしてる。

テレビからはニカがこの前出た
歌番組が流れてた。



「あ、今日だし巻きあんじゃんっ」

「うん、美味しくできてるよ」

「わーい」



ニカはテーブルに座ると

「いただきまーすっ」

嬉しそうにご飯を食べ始めた。



「食べ終わったらバルコニー借りるね」

「うん」



そう、今日はニカが練習したいって言うから
うちで過ごしてる。

雑誌をパラッとめくると広告になっちゃって
あー、読みたい特集ここで終わりか、なんて思ったタイミングで
ふと聞こえてきた歌声に顔をあげる。



整った顔の子達がキラキラした衣装で
楽しそうに歌ってる。



……ニカたちの後輩かな。



スマホで検索するとそうみたいで。
へー、なんて思いながらぼんやり眺める。



この子たちもニカみたいに
しばらく辛かったんだろうな。



違う人達になったからまた雑誌を読み始める。

CMになったから飛ばしてまた再生し始めると
ちょうどニカたちだった。



あ、ニカだ。

と思ったけとニカの前でニカを見るのが恥ずかしくて雑誌を見ながらチラッと盗み見る。



ニカがソロで映ってニッて笑う。

ドキッとした。



けど、バレないように雑誌をめくった。



いつの間にか流しに移動したニカが
鼻歌でいま流れてる歌を歌ってる。

すごく贅沢な空間なんだろうけど
テレビの向こうのニカは私の知ってるニカとは少し違うから。



ニカたちの出番が終わる頃
ふと雑誌を取り上げられてニカが私の膝に跨ってる。



「え、何？」

「何で後輩はちゃんと見て俺出てる時に雑誌読んでるかな」



しっかり私の行動を見ていたらしいニカは
たいそうご不満だったらしく私の顔を手で挟んでグリグリ回す。



しかも手をしっかり拭いてないのか濡れてて

「ニカ！まだ濡れてるっ！」

「いいんじゃない？水分補給になって」

楽しそうにニカが笑ってて。



そうそう、こっちの笑顔の方が
私が知ってるニカの笑顔。

今年の夏はニカにとって大きな出来事があったから
ニカの笑顔に特にホッとする。



…ニカが元気で良かった。

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