太陽の当たる場所 9

4U 15 side 2 ページ24

少しだけ
自覚があった。

なんでミツマネや女優さんと話してると
俺がニコニコしてるのを
Aが不満に思うのか。



「もしかしてA、妬いてるの？」



口にした時
自分がものすごく意地悪な言い方をしてて
そんな自分にびっくりした。



Aはご飯を食べたのも嘘つくくらい
全然素直に言わないから
否定すると思ったのに

「妬いてるよ。めちゃくちゃ妬いてる」

泣きそうな顔と声でAは言う。



え、認めちゃうの？



びっくりしてると

「楽しかったよ、昨日。祐介君たちと会うの久しぶりだったし懐かしかったし、ニカが勧めてくれたお店、ものすごく美味しかった」

話しながらAの声がだんだん震えてきてる。



「でもそれは幼なじみだからなだけし、私ニカに『外で会いたい』とか『そういう人の方がいい』なんて一度も言った事も思った事もないよ？」



Aに言われて気づく。

確かにAにそんな事を言われた事も
Aの態度からそう思った事も無かった。

ジェットコースターの写真を送ってきただけで
『一緒に行きたかった』なんてAは一言も言ってない。

ダイビング行った時も新潟行った時も
Aは自分なりに楽しんでたし、俺の事も楽しませてくれてた。

映画もAは最後まで反対してたのに強引に見たし。



外で会えないのを気にしてたのは
俺だけじゃん。



「ニカの方じゃん、機嫌が悪そうなの。他の人にはニコニコするのに！それなら一緒に居ない方がいいじゃん！！」

ボロボロ泣き出すAは鍵をパン、と音を立ててドラえもんがついたこの家の鍵を玄関の台に置くと



「ニカのバカっ！！大っっっ嫌いっ！！！！」



叫びにも似た声でAが言って玄関を出て行くと
バタン！と音を立ててドアが閉まる。



驚いて何も出来なかった。



確かにAは一緒にいる時は楽しそうで
一度も外で会いたいなんて言ってない。



今回妬いてるのだって
素直になってって言ったのをちゃんと守って言ってくれてたのに。



何やってんだろーね、俺。



ピーピーって洗濯機が音を立てている。

その音で我に返ってドラえもんの鍵を見つめる。




またやっちゃうわけ？

Aを1人で泣かせて終わりにしていいの？



…もう泣かせないって言ったのにね。



『大っっっ嫌い』っていうAの叫びに似た声が頭から離れない。



Aをまた泣かせちゃうかもしれない。

けど、これで終わらせたくない。



Aが置いた鍵を掴んだ。

4U 16→←4U 15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す