太陽の当たる場所 9

4U 14 side 2 ページ22

朝ごはんを食べたって
嘘をつくAは
ミツが寝坊してルート変更になった連絡をしてる間に
さっさと家を出ていく。



引き止める間も無かった。

背中を向けたまんまで
どんな顔をしてるかも分からない。



勝手にキレてる俺に
ムカついてるのかもしれない。

可能性は大いにあるけど
だからって俺も譲れないし。



大将と祐介君の関係性考えたら
確かに祐介君がAに手を出すとか考えにくい。

Aが俺のこと大好きな事くらいすごくよく分かってるけど
Aのおばあちゃんが祐介君がAの事を大好きって言ってたからそれがどうしても気になって。



自分の方が余裕なはずなのに
余裕なんて全然出せない自分が
ものすごく情けない。



仕事を終えて帰ると
エントランスに最近キスブサで共演した女優さんが居た。

「……えっ？」

バッチリ目が合っちゃったから
誤魔化せなくて

「あれ、二階堂くんじゃん！ここに住んでるの？」

聞かれちゃうからたとえ同じ業界の人とは言え答えに困る。

「……えーっと…」

「あははは！ごめん、答えにくいよね。お互い様だから今の話、答えなくていいからね」

ニッコリ笑われて
とりあえず愛想笑いで返しておく。



でもその人が入る様子がないから

「…待ち合わせですか？」

声を掛けると

「実は鍵落としちゃって。いま管理人さんとマネージャー呼んでるとこ」

「え！大丈夫ですか！？取られたとかじゃないです！？」

びっくりする事を言うから驚いてると
入口が開いてAが入ってくる。



あっ、って一瞬思ったけど
反応する訳にもいかないし
Aも気づかないフリで俺たちの前を通りすぎると
鍵を使って淡々と操作をして中に入っていった。



Aが中に入ったのを確認してから女優さんが話し出す。

「帰りの楽屋で一度見てるから少なくともそこから家までの間のどこかなんだけど」

「あはは！マジで！？」

しっかりしてそうで意外とうっかりさんなんだな、なんて思って話してると
マネージャーさんたちが来たみたいだから
挨拶して家に帰る。



帰るとちょうどAが玄関に居て
仕事着のまま靴を履こうとしてるところだった。

「どこ行くの？」

「…帰る」

荷物を持って立ち上がったからびっくりする。



「え？何で？」

「…ニカが嫌そうだから」



ムスッとした顔でAが言うから
いよいよ意味が分からない。



「は？意味分かんないんだけど」



口調が強くなっちゃうと
Aは泣きそうな顔をした。

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