太陽の当たる場所 9

4U 13 ページ19

祐介君と充君との1日は
本当に楽しかった。

友達がいないに等しい私には
幼なじみのこの2人くらいしか
仲がいい子が居ないな、って改めて思う。

何も気にしないで過ごせるのは
おばあちゃんとニカと
この2人だけだ。



「Aちゃん帰り大丈夫？」



時計はもう22時半。

さすがにそろそろ帰らないと。



「うん、帰るよ」

「送ろうか？」



祐介君が言うタイミングで祐介君のスマホが鳴る。



送り先はニカの家になるから
あの高級マンションを見たらさすがに2人も『えっ？』ってなるよ。



代わりに聞いてくれるのか充君が私を見るから

「彼氏の家に行くの」

「もう遅いし彼氏んちまで送るよ」

答えると充君が言う。



んー…どうしよう。
困ったな。

「…彼氏に迎えに来てもらうよ」

「なら彼氏来るまで一緒にいるよ」

充君は彼氏に会う気満々になってて
きっと何を答えてもこれはマズいパターン。



すると

「ねぇAちゃん、大将がうちに泊まれって言ってるけど」

電話の相手は叔父さんだったみたい。
祐介君が言い出す。



「え！困るよ！！」

着替えとかニカんちなのに！
急に泊まるとか！



でも小声で充君が

「大将、彼氏のこと知ってるの？」

聞いてくるから私も首を振る。



やっぱり、って顔をしつつ

「まぁ、言えるわけないか」

充君は言う。



彼氏居るなんて
心配症の叔父さんに絶対言えない。

しかもニカだなんてさらに言えない。



「『こんな遅い時間に友達の家に行っても迷惑だ』だって」

祐介君は叔父さんの言葉をそのまま伝えてくれて言うけど

「迷惑じゃない！着替えとかも全部置いてきてるし！」

叔父さんに聞こえるように声を張って言う。



すると叔父さんに何か言われたのか
祐介君が困った顔で私を見てる。



そして今度は私のスマホが鳴って
ニカから

ニカ明日早いからそろそろ寝るね

LINEが来てる。



え、そうなの？

……だとすると
ニカんちに行くのも悪いか。

ため息をつく。



「わかった、叔父さんちに行くよ」

こうなったら早めに起きてニカんち行って1度着替えるしかないや。

「は？」「え？」

祐介君も充君もびっくりして私を見る。



「相手がもう寝るから」



ニカに叔父さんちに行くってLINEを送る。



……ニカに会いたかったな。



ため息をついて祐介君たちに続いて歩き出す。

落ち込む私に気づいて充君が同情して頭を撫でてくれたけど。




…頭を撫でてくれるなら
ニカがいいな。

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