サイボーグな彼女 16

after 二度あることは 26-27 ki ページ8

鍵を一本一本確認してる間
ただ見守っているしかない。

スタッフさんたちが
さすがに今日は延期にしようか
なんて話してるのを聞いていた。



でもまたスケジュール調整すんの
大変じゃねーかな。

ただ停電の原因分からねーと
どーしよーもねーよな。



時間はそんなに経ってねーんだろーけど
さすがに心配になってきてなんだかソワソワしてくる。



「河井さん、何も持ってなかった気がするんだよなー。大丈夫かな」



ふと隣にいた人が言う。



「あれ？中に居るのって俺のマネージャーと…」

他に誰が居るんだ？
聞いてみると

「ロケチームのプロデューサーの河井がいます」

言われてさすがに驚く。



すげー偶然。
普通ねーだろ。

つーか何でAはこの部屋入ってんの？



俺のアドバイス聞いて
河井さんに話聞こうとしてくれたってことか？

まぁいずれにしろ
Aも一緒なら河井さんも大丈夫だろ。

Aは俺用のものいくつかあるし
スポドリや塩飴や水も持ってるハズだ。



しばらくして
やっと鍵が合ったらしくドアが開く。

ドアを開けた瞬間ムワッとした熱気が中から出て
部屋の中にはAと河井さんが微妙な距離を開けて立っていた。



何この距離感。

とは思ったけどとりあえずAに近づく。



短時間とはいえ相当暑かったのか汗だくになってるAと河井さん。

大丈夫だろうとは思ってたけど
心配には心配だったから無事でホッとした。



けどそんなこと言うのも顔に出すのも
ドアの前で『大丈夫だよな？』って空気感出した手前
なんか違うよな、と思ったから

「ん、無事だな」

普通にAに声をかけた。

「はい。ご心配おかけしました」

ぺこりとお辞儀して顔を上げたAが
目の奥が嬉しそうにしてたから俺も笑う。



とにかく一度外に出た。
閉じ込められていた部屋の外の冷気にAも河井さんもホッとしてる。

スタッフさんたちがミニ扇風機やウチワを貸してくれてAが涼んでる時に

「話、出来たか？」

周りの人と少し距離が出来たタイミングで聞くと

「いえ、聞こうとしたんですけど向こうから話しませんでした」

キッパリ言うA。



その口調から
なんとなくAが河井さんに無意識になんか言ったな、って思った。

言わなかったのは河井さんなんだから
それならそれでいいんだろう。



「そか」

「はい」



2人は2人なりの結論を出したんだろう。

なら俺からも今度こそこれ以上話す事はねーな。

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