サイボーグな彼女 16

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Aとキヌエさんの墓参りに来た。

運転は結局代わらせなかった。
今回は俺の都合で福島に行きたかったから。

不満そうなAだけど
道中はずっと起きててくれた。

俺が黙って運転してる時も
景色を楽しんだり
途中のサービスエリアで買ったいつものソフトクリームを美味しそうに食べてたり。



Aが大好きなソフトクリームを食べてる顔が
やっぱり嬉しそうだったから

「あー、助手席だったら食わせてもらえたのにー」

別に良かったのに悔しそうに言ってみたら

「食べる？」

身を乗り出して食べさせてくれたり。
Aが食べてくれればいいのに甘えてみたくて

「あーん」

って食べさせてもらったら
Aは無表情だけど目の奥が優しい。




そしてそんなAの首元には
前に俺があげた昔使ってたペンダント。

出掛ける直前それに気づいて

「今日こっちなんだ？」

首元のペンダントトップをチョイチョイしながら言うと

「うん。昔宏光が使ってたなら仕事中コレ出来ないから」

少し照れて言うAが可愛いし
よく見たらピアスも随分前のホワイトデーにプレゼントした赤のピアスだ。

「似合ってるよ」

耳も触りながら言うと

「…………」

さらに照れて
しかも耳苦手だから感じてる顔をして無言で俺を見てるAが可愛くて。



やべー。

今から運転なのにムラッとしちゃうわ。



「そこで照れんなよ、俺も照れるんだけど」

「ごめん、宏光と出かけるの嬉しくてテンション上がって柄にもないことしちゃった」



お互い真っ赤になってニヤニヤしちゃう。
完全におかしな2人になってる。
そんなお互いに、お互いが面白くなって顔を見合わせて笑った。

その空気や雰囲気も俺ららしいな、って思う。



お互いにとってお互いが
愛しくて大切な存在。



そんなAに伝えたい事があって。
今日お墓参りに来たんだけど。



バケツにお水を入れてそれを持つとそれだけの事に

「ありがとう」

キチンとお礼を言うAや
お墓を拭いてるAの横で供える花のラッピングを取ってると

「ありがとう、ゴミここに入れて」

って気づいてお礼を言ってくるAが
やっぱり愛しくて。



2人でお線香を上げる。

さすがに少し緊張してくる。



_____キヌエさん、今から言うことちゃんと聞いててください。



心の中で呟いて目を開けるとAがこっちを見てて。

「ありがとう、おばあちゃん喜ぶよ」

またお礼を言うAに
向き直って息を吸うと言葉を続けた。

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