サイボーグな彼女 16

after ただ君と 17 ページ43

宏光と久しぶりに会う。

それに少し緊張して家に帰ると
仕事は終わってる時間なのに宏光はまだ帰ってなくて。

拍子抜けしつつ撮影延びてるのかな、なんて思って
車からの荷物を2回に分けてたから持って来てない荷物を取りに行こうとしてサンダルを履いたら
ドアが開く音。

ものすごく近くに宏光が居る。



「わっ」

「あ……」



お互い声が出る。



2週間ぶりの宏光。

ここまで会わないのが久しぶりだから
どんなリアクションをしたらいいか分からない。



多分顔が強ばったんだろう
そんな私に宏光が笑って

「あはは！久しぶりの再会でその顔無くない？」

言ってから私の頬を愛しそうに撫でて

「……おかえり、A」

ものすごく優しい顔をするから。



「ただいま」

「ん、おかえり」



どんな顔をしていいか分からなくて顔が引き攣るのに
久しぶりの宏光が嬉し過ぎて。

自分から宏光に抱きついた。

「お」

ちょっと驚いた宏光が声を漏らす。



宏光の体温や香りが久しぶりだ。
家に入った時より『帰ってきた』って気持ちになる。



「つーか、A。また鍵掛けてねーじゃん」



宏光がいつもの口調で文句を言う。

それすらも嬉しくて。



「今からもう１回車に荷物取りに行くから」

「だからってダメだろ、出るギリギリまで掛けろっつの」

「宏光も鍵刺さずに先にドア開けたよね」

「………俺はいーの」



ムスッとして言う宏光は私をギュッと抱き締めて

「あぁー…本物のAだぁー……」

言いながら私の頭や背中を撫で回す。

それが気持ち良くて
宏光に体重を預けるとちゃんと支えてくれる。



そのまましばらく抱き合ってて
ふと我に返る。

立ったまま、しんどくないかな。

荷物取りに行く間に上がっててもらえばいいか。



宏光から離れようとしたら

「あと3分」

宏光がギュッと抱き締めてくる。



「荷物、取りに行きたいんだけど」

「あはは、変わんねーな」



笑う宏光はとても楽しそうで。

宏光が楽しそうだと私も嬉しくて
笑う宏光が愛しくて。



「ただいま、宏光」

「ん、おかーえり」



またギュッて抱き合うと

「『ここ』に、おかえり」

宏光が言ってくれるから嬉しくて宏光の頬にキスをした。



「……そこじゃなくて、ここだろ」



宏光が少し腕を解いて私の顔の角度を変えてチュッ、と唇を重ねた。



2週間ぶりのその感触が嬉しくて。

徐々に深くなる唇を何度も味わって。



結局、荷物は5分どころか翌朝取りに行った。

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