サイボーグな彼女 16

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福島に行く2日前。
Aのお兄さんから
キヌエさんは痛み止めでほぼ寝てる事が増えたって言われる。

なら、少しでも会えるよーに
仕事終わったらそのまま行ける方がいいよな。

前の日から行けるよーに荷物の準備をする。

Aんちに鞄を持ってって
先に車に荷物を積んでエレベーターに向かうと
ハチと酒井ちゃんが居る。



「え！酒井ちゃんじゃん！」

「わ！北山さんお久しぶりです！」



酒井ちゃんに会えたのは嬉しいけど
これこのままAんち行けねー流れだよな。

俺も社宅のPC使いに来た感じで
仕方なく上に上がる。



あー、Aんちすぐ行けねーじゃん。
すぐ行けると思って鍵掛けてねーんだけど。



酒井ちゃんの近況聞きながら
プチオフィスに向かうと
今日は先客が何人かいて
タレントじゃないとこを見るとみんな誰かのマネージャーなんだろう。

「え、今日忙しい日なの？」

「そうですね、今の時期忙しいですねー。担当タレントの報告と業務評価や改善報告もあるんで」

俺の質問にサラッと返す酒井ちゃんもどうやらそれをやりに来たみたい。



「…報告？業務評価？改善？」

「はい。担当タレントがどの仕事が向いてる、とか、こんな仕事させたい、とかをマネージャー目線で報告するんです」

「へー」



そんなんされてるんだ。
自分のを見たいような見たくないような。



「Aさんのは毎年すごいよね。早いし俺らと被らない提案絶対してたし」

酒井ちゃんに言われて「ん？」ってなる。



「え、アイツ俺のだけじゃねーの？」

「はい、うちは武田さんの方針で全員分出します」



ハチが言って

「今回の玉森さんのドラマと北山さんのドラマや舞台のきっかけもAさんの提案と武田さんのプレゼンがきっかけです」

「はー！なるほど…」

そーなんだ。
そんな仕事もあるんだ。



「業務評価は自分以外のマネージャーの評価とかするんです。あと、マネージャーの仕事の改善提案とか」

「はー…忙しいんだな、マネージャー」

「楽しいですけどね」



酒井ちゃんもハチも生き生きしてるけど。

「Aさんはとっくに終わってます。早いし完璧だって武田さんが褒めてました！」

なんてハチが嬉しそうに報告してくれて
胸がチクッとなる。



やっぱハチ、気づいてねーのかな。



モヤモヤしながら違和感ない程度にPC弄って
Aんちに行くと鍵開いたままで。



モヤモヤを晴らすためにAをくすぐって誤魔化したけど
なんか切なかった。

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